43.頼まれごと 三
ようやく話が分かった。それで小湊さん達が悩んでいるところに俺が戻ってきたって流れか。
「それで祐司、私とコイツはやってみてもいいかな、って思ってるんだけど……。祐司次第かな、とも思うの。どうしよ?」
二人がいいと思うなら全然ありだと思う。反対する理由はないし、むしろ大賛成まである。
「いいんじゃないか? ただやるからにはきちんとしなきゃいけないけどな」
別に信用してないわけじゃないが、俺も屋台なんてこれまでしたことがない。何かあったらそれはゲンジさんに……青年団に迷惑をかけることになる。
「言われるまでもないわよ、まかせてっ」
「篠森君、私も出来るだけフォローするし、賛成してくれないかな?」
いや、元から反対はしていない。まぁ、慎重になってるところはあるけれど、四谷さんもそう言ってくれるのなら大丈夫かな。
本当に立ちいかなくなったら出店も取り止めにしてくれるだろうし。
「ゲンジさん、屋台は四人でってことですか?」
「そうだが……。祐坊には当日、
「大丈夫、私たちだけでもやれるって!」
「……二人がしたいならそれで」
「やりぃっ」
ぐっとガッツポーズを決める小湊さんは本当に嬉しそうだ。
失敗したらどうしようかというだけで、それも四谷さんが後ろ盾してくれるのなら反対する理由はない。
なにより、屋台の話し合いでこれからよく集まることになるだろう。となれば須藤と小湊さんが接触する機会は自然と増える。それはこちらにとっても願ってもないことだ。
「でも千佳がいいかは分からないけど」
「私がどうかしましたか?」
「わっ」
声に驚き振り向くとすぐ後ろに千佳がいた。
「嬢ちゃん、屋台しねぇか?」
「屋台、ですか?」
「おうよ。今なら祐坊もついてくるぜ?」
その言い方は雑すぎやしないか? そんな釣り針にかかる千佳じゃないだろ。
「やります」
「おう、頼んだぜ。ん? どうした祐坊、そんな微妙な顔しやがって?」
「いや、なんでもないです」
千佳め、いとも簡単に釣られやがって。
「それじゃ続きだ続き、おーい、全員注目! 十分後、全体練習に入る! 気になる部分は今のうちに見直しておけ!」
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