42.頼まれごと 二
それでやり玉に挙がったのが小湊さん達ってワケか。でもいいのか? こんな高校生に屋台なんか任せてしまって? それに他にも問題はある。
「もともと四谷さんはその五つ、どうする予定だったんですか?」
「うん。そこだけ虫食いみたいに空き地が出来ると見栄えが悪いからね、テントを張るだけはって、長椅子並べて休憩処にしようと思ったんだけどねぇ……さすがに五つ全てそれをするのは無理があるだろ?」
確かに。
「外部の人にその場所を譲るのは?」
「言いにくい話だけれど、こういうお祭りの場所取りは既得権益ってやつでさ。下手に新しく枠を増やすと争いのタネになるんだよ。奪い合いで揉めることになるんだったら空き地の方がまだマシって程さ」
そうか、屋台同士で揉めてしまうと当日はもちろん、来年にだって響くかもしれないのか。そうなるとやっぱり休憩処が落としどころとしてベターなのかもしれない。
「でもな、祐坊? 俺ぁ屋台も祭りもいつも通りにやりてぇんだ。そりゃ減らすのはしかたねぇ。けどな、五つってのがどうにも受け入れられねぇんだよ」
ゲンジさんの気持ちも分かる。
「それで小湊さん達に、ですか」
「あぁ、祐坊の友達なんだろう? だったらこっちゃあ預けられるって思っちょる。それにお前らだけで出せとは言わねぇ。こっちからも一人二人なら店番を出せるからな。どうだ、やっちゃぁくれねぇか? って誘ってたのよ」
なるほど。ようやく話が分かった、それで小湊さん達は考えているところに俺が戻ってきたって流れか。
「それで篠森、私とコイツはやってみてもいいかな、って思ってるんだけど……。篠森次第かな、とも思うの。どうしよ?」
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