君を刻む

Amaryllis

 「あなたに願いはありますか?」


 雨の日を、思い出す。


「叶えたいと、思いませんか?」


 ……会いたい、人が──。


「叶えてさしあげますよ、その願い」


 今からたったの一時間、今日という日付の魔法。

 果たしてそれが天使か悪魔かは分からない。けれど、薄れ行く想いの中で、どうしてもまだ、やらなければならない事が、あった気がしてならないのだ。


 あの日、あの雨の日から、ずっと己を責めている。


「行ってらっしゃい、シンデレラ」


 深夜12時までの魔法。それまでに僕は──償わねばならない。

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