第12話「最初のリベンジ、まずは賠償金だね」
麗良と仲良く昼飯を囲っている。日当たりのよい学校の屋上を貸し切り、二人きりでだ。
どうしてこうなった!?
俺が宇宙人からの贈り物「
はい、一秒で論破。原因解明、終了です。
あれ以来、学校では麗良と行動を供にしている。学校の登下校から始まり、昼食、移動教室、休憩時間全てだ。
取り巻き達はいいのか?
聞いたところ、売国奴達とつるむ気はないんだって!
はは……。
ちなみに
いい気味だ。実にいい気味だ。
このまま
ちらりと正面にいる麗良を見る。
麗良は、満面の笑みで俺を見つめていた。
無防備な笑顔だ。
まるで大恋愛の末に結ばれた恋人同士のようだね。
うん、麗良を見ればよくわかる。これは、人格を殺す道具だ。以前とは段違いの態度。
自重だ。自重しよう。
欲望に負けるな。
どうせ奴らは入院中で手が出せない。
今は麗良が味方になってくれた。それだけで十分である。
解き方はわからないけど……。
する。なんとかするんだ。人の人生が懸かっているからな。
「ショウ、どうだ。美味いか?」
「う、うん、うまいよ」
「そうか、遠慮するな。おかわりもあるぞ」
でんとテーブルに乗せられた五重のお弁当。松茸、キャビア、フォアグラと言った高級食材をふんだんに使用している。孔雀の形をした人参も職人技が光るね。
麗良が用意したお弁当、いわゆる高級料亭の仕出し弁当である。それも総理大臣とかVIPが通う「超」がつく高級料亭のものらしい。
聞いたときは、びびった。総理大臣って……場違いにもほどがある。一生縁のないところだよ。
キャビアにフォアグラといった高級食物を、しがない高校生の身分で食せようとは思いもしなかった。
はぁ~
思わずため息が出た。
いや、不満なんてないよ。俺が頼んだのに、文句を言うほど傲慢じゃない。
麗良を洗脳したあの日、麗良は償いをすると言い出し、お金を渡そうとしてきた。諭吉さん、一枚じゃない、札束でだ。それも一束じゃないぞ。札束がアタッシュケースにぎっしりと詰まっていた。
麗良のボディガードがいつのまにか持ってきたジュラルミンケースを見てびびったね。
ドラマとかでよくあるジュラルミンケースを開けてバラバラと札束が零れるよね。あんな感じだ。
あんなに大量のお金初めて見たよ。
一千万はあったかな?
俺は、パニクってたのに、麗良は涼しい顔で言ったよ。
ひとまず現金は、これぐらいあればいいかって。さらに、これ以上はかさばるからって、俺専用のクレジットカードも用意してくれるってさ。
草乃月銀行のプラチナカード。
VIPしか知らない特別のカードで引き出すのに上限は無いらしい。十億ほど入金されてて、好きなだけ使っていいそうだ。足りなくなれば、補充もしてくれるってさ。
ひくよ、ひきますよ。
こんな大金をもらって、のうのうと生きていられるほど無神経ではない。俺は、小心者なんだ。
麗良に「お金はいらない。勘弁してくれ!」と懇願した。
何度も何度も頭を下げたよ。
でも、麗良は、是が非でも償いをすると言って頑として譲らない。
双方押し問答が続いた。
だからね……。
代わりにお弁当が欲しいとお願いした。妥協案である。
ほら、よくあるだろ。
可愛い彼女が何かのお礼にお弁当を作ってくるって。ドラマや漫画でよくあるパターンだ。
おにぎりに卵焼きにタコさんウインナが入っている、そんな程度でよかったのに……。
正直、草乃月財閥舐めてました。
麗良が用意したお弁当は、あまりにゴージャスすぎる。
テレビの特番でウン十万もする高級おせち料理を見たことがある。一つ一つの食材が天然物で、有名な料理人が腕を振るって作られたものだ。この弁当、それに劣ってない。それどころか完全に勝っている。
あれでもウン十万するんだからな。
この弁当、一体どれくらいするんだろう?
「あの、これいくらかかったの?」
「なんだ、気になるのか?」
「そりゃね、あんまり高いと悪いし」
「ふふ、気にするな。これは私の償いの一つだ。この程度ではとても償いにはならないが、お前のたっての頼みだからな」
「はは……そう」
「ちなみに値段は安くはないとだけ言っておこう」
麗良がドヤ顔をしている。
草乃月財閥が言う安くない……一千万円をとりあえずといって渡す家だぞ。
うん、もう聞かないでおこう。
聞いたらストレスで禿げそうだ。
ポジティブ、ポジティブ。
これ以上、考えたら負けだね。
最近栄養を取っていなかった。ストレスでいつも胃がキリキリしてたから。
この機会に美食を楽しもう。
箸を取り、弁当をつまんでいく。
海老、蟹、イクラ……。
美味い、美味い。
次はメインデッシュだ。
西洋の至宝フォアグラを掴み、口に入れる。
うっ!? うめぇ~。
ほろりとほぐれるやわらかな食感、そして濃厚なソースが舌を刺激した。
美味である。美味である。
箸が進むよ。
「もぐもぐ、うまい、うまいよ。こんなに美味い飯は初めてだ」
「そうか、そうか、この程度のもので……清貧生活は辛かっただろう。安心しろ。お前に二度とひもじい思いはさせん」
麗良がハンカチで涙を拭っている。
いや、何気に家をディスってるな。清貧生活ってなんだよ。
俺の家は普通だ。
確かに毎日ステーキは食えないかもしれないが、月に二回は、好物のすき焼きとか食べてるんだからな。
あまり中流家庭舐めないで欲しい。
「別に、ひもじい思いはしていないよ。普通に肉食べるし、こんなに高級じゃないけど美味しい食事もしている」
「あいかわらずだな。飢饉の時もそう言って、やせ我慢をしていた」
飢饉って……事情を知っている俺だから大丈夫だけど、普通は頭おかしい奴って思われるからね。
俺、言ったよな。ヴュルテンゲルツ王国なんて知らないって。いきなり前世の話とか言って、べらべら説明を始めた時は引いたぞ。まぁ、俺のせいだから仕方がないけどさ。
とにかくだ。俺は、一応記憶が戻っていない設定だったろうが!
つっこんどくか?
うん、つっこんでおこう。麗良のためだ。
「麗良さん、飢饉って何?」
「ふっ、そうだった。記憶が戻っていないのだったな」
「うん、記憶は戻っていないよ。前世の話だったっけ?」
「そうだ。お前は私が最も信頼する家臣だった。前世、テンメリの飢饉という大規模な災害が発生してな。お前のおかげで多くの民が救われた」
「そ、そう……」
「あぁ、お前は、民を優先し、寝食を忘れて政務に取り組んだ。周りが休めと言っても休まずにな」
麗良が誇らしげに俺を見る。
うん、やめて。
確かにそんな話を書いたさ。あれは一章の第三十話だった。
飢饉が発生し、ショウはすぐに災害本部を設置し事態収拾に取り組む。いくつもの複雑で難しい案件を、ショウは三日徹夜して、二時間寝て、さらに三日徹夜して、を繰り返して事態解決に向けて対応していた。
その間、ろくに食べずに水しか飲んでいなかったんだよ。いくつもの町を視察して、数少ない貴重な食糧を手に入れても、全て子供達に分け与えてやったのだ。
極限の空腹を正義の心で乗り越えた男、ショウ。
どんな超人やねん。
聖人の中の聖人にしかできない。
俺は、そんな立派な人間じゃないから。
朝昼抜いただけでフラフラになる軟弱者だ。俺は、「翔」であって「ショウ」ではない。
無駄とは思うが、わかって欲しい。説得してみるか。
「麗良さん、あまり前世の話をしないほうがいい」
「なぜだ?」
「いや、本当かどうかもわからないし……」
「事実だ」
「そうだとしても、麗良さんが周りから変に思われるよ」
「ふっ、周りからどう思われようが構わん。それよりも、こうやって前世の話をして、ショウの記憶が戻るきっかけになればと思ってな」
「麗良さん、正直、前世の話って言ってもピンとこない。き、きっと夢を見たんだよ。ね、だからもう前世の話は忘れたほうがいいよ」
「ショウ、今は何を言っているかわからないだろう。だが、そのうちわかる」
麗良は確信を持った表情で答える。
これ、もうあかんわ。ほんとどないしよ。
思わずエセ関西弁が出てしまったよ。
数日後……。
俺の栄養状態が悪いと思ったのか、お弁当が日増しに豪華になっていく。
まさか今日、ふぐ刺しを食えるとは思わなかった。
職人さんが来て目の前でトラフグを捌いてくれたのである。
天然物ですげーうまかった。
明日は、ウナギの蒲焼だってさ。
熟練の職人さんのスケジュールも抑えているんだとか。
熟練の職人は、三ツ星ホテルの総料理長とか、その道、五十年のベテランシェフとかを呼んでいるんだ。料理で褒章を取っている人だよ。
超忙しいだろうに。
たかが高校生の昼飯を作りに来てくれるなんて……。
また罪悪感が膨れ上がってきた。
いい加減、やめるべきだ。
「麗良さん、昼飯はもう――」
「ショウ、手に入れたぞ。幻の宝魚が釣れたと連絡が入った。明日は魚料理だ」
麗良が携帯を片手に嬉しそうに報告してくる。
どこかの漁業団体と話をしたのかな。クルーザーも出勤しているのなら、かなりの金が動いている。
うん、手遅れだ。既に断れない雰囲気が構築されている。明日も流されるまま平らげるだろうな。
これ、どないしよ?
そんな俺の心配をよそに、麗良が静岡県産の高級茶葉を使ったお茶を注いでくれる。
すごい玉露だ。
香りがすごい。
……と、とりあえず保留だ、保留。
悩みを抱え込むのは、精神衛生上よくないのだ。
お茶を飲んでまずは気を落ち着かせよう。
お茶を受け取り、すすっていると、
「く、草乃月さん、準備が整いました」
屋上の扉が開き、宮本が頭を下げてきた。
「……遅い」
麗良がジト目で非難する。
「も、申し訳ございません」
宮本が米つきバッタの如くペコペコと頭を下げる。
「ショウ、準備が整ったそうだ」
「う、うん」
とうとう来たか。
覚悟を決め、麗良と教室に向かう。
「うぉっ!!」
事前にわかってはいたけど、驚きの声が出ちゃったよ。
教室に入るなり、クラス全員から土下座された。
男女の区別なく全員が地べたに頭をこすりつけている。
うちのクラスは家柄が良いとか成績が優秀とか、プライドの高い奴らが多い。そんな奴らが底辺と目されている俺に土下座をしているのだ。
納得していないだろうなぁ~。
案の定、悔しいのか、プルプル肩を震わせている者がけっこういる。
そう、あの騒動の日、麗良はクラスの皆を物理的に首を飛ばしかねない勢いで責め立てた。麗良の精神は、絶対王政の頃の王族そのものだ。躊躇なく元クラスメートを処刑するだろう。やると決めたらやる女だ。シャレにならない。俺は、麗良を必死に止めた。必死に説得し、なんとか慰謝料を取る形でケリをつけることができた。
慰謝料は、今ある貯金全てと今後親からもらう小遣いの七割だ。
普通こんな無茶な命令を聞く奴はいない。
だが、普通じゃない状況ができあがっている。日本を牛耳っている草乃月財閥、そのご令嬢のご命令だからだ。聞かなければ、麗良に「敵」認定される。麗良が本気なのは皆、もうわかっていた。なにせあの
皆、恐怖におののき従った。
俺は、これからクラスメートからお金を受け取る。
抵抗はないよ。
こいつらには同情する義理もないし、義務もない。俺もお金を受け取らないというほど聖人でもない。
イジメられていた時のノートや上履き代は正直バカにならなかった。湿布や絆創膏代だってそう。親には言えないから、貯金を切り崩していた。損害は発生していたのだ。何より心の傷は深い。
遠慮なく頂いておこう。財布を受け取り、中から現金を抜く。
「ひ、ひっぐ……」
金を徴収されたクラスの男子が泣いている。先週まで面白半分で俺を殴ってたのが、嘘のようだ。
諭吉さんが一枚、二枚、三枚……。
す、すげー、さすが坊ちゃん嬢ちゃんが通う高校だよ。金持ちだ。
「次だ」
麗良に促され、俺の前に財布を出す。
クラスの女子だ。
男女の区別はない。
皆、出し惜しみせずにお金を渡してくる。
プライドの高い奴らまで、なんでここまでするのかって、疑問に思うかもしれない。実際、そこそこの家柄の子もいる。親の権威を利用して、麗良の要求を突っぱねようとしたらしい。でも、そういう輩は、麗良が、その持てる力を十全に使い、その家ごと潰しにかかったとか。彼らの弱みを握り、脅した。草乃月財閥には、CIA並の諜報機関があるって嘘か本当かわからない話を聞いたけど、あながち嘘じゃないんじゃないか。
麗良曰く「彼らの弁慶の泣き所をがっちりと握っている。安心しろ」とのこと。公開された場合、破産、一家路頭に迷うぐらいの勢いだ。
怖い、怖いよ。
そうだな。恋愛経験がないため、小説内では、婚約者にボジれた残念王女に位置していた。
だが、しかし!
麗良は、もともと三国志武将で例えるなら、コーエイ準拠で政治九十、魅力九十二で設定したハイスペック王女である。麗良の設定には、図書館やネットで調べた帝王学の極意をまるまるぶっこんだからな。リアル孫権だ。
そんな絶対王政で辣腕を振るっていた王女様だ。たかが高校生程度の首根っこをつかまえるぐらい訳ないだろう。
そんな次第で続々と俺の前に積みあがるお金。
項垂れて出ていくクラスメート達。
次は宮本だ。
こいつは、まじでいじめ戦犯の一人だ。許す気は毛頭ない。
俺は、寄越せとばかりに乱暴に宮本の顔の前に手を出す。
「し、白石、てめぇ調子に乗るんじゃ――」
殴ろうとした手を黒服の男が掴む。
黒岩さん!!
黒岩さんは、そのまま無言で頷き、宮本を地面にたたき伏せる。
一瞬の出来事だ。
麗良のボディガード強すぎだね。
ちなみに麗良のボディガードは、何人かいたが、黒岩さん以外は全員麗良にクビにされた。
麗良のボディガード、皆どこか冷たかった。
俺がイジメられていた時、馬鹿にした目つきで見ていたし、指を指して笑っていた人もいる。中には、麗良の恋人である
とにかく麗良のボディガード達は、麗良と
ただ、黒岩さんだけは違った。重そうに荷物を持っていた女子のお手伝いをしたり、見えないところで俺がいじめられないように配慮もしてくれた。ボディガードの仕事があるから表立ってではないけど、裏で手を回して守ってくれた。黒岩さんのおかげでいじめが少し減ったのだ。
スキンヘッドでごつい体形にもかかわらず、気は優しく大人な性格の黒岩さん。
だからね、黒岩さんは、小説で良キャラに設定し書いたよ。王女レイラを獅子奮迅の働きで守った忠臣としてね。
王女の近衛隊士ブラック・ロック。ミナトガワの撤退戦で、レイラ王女を庇って戦死する。
敵の弓兵が雨あられのように矢を放ってきたところを、レイラ王女を背に仁王立ちになり、矢が当たるのを防いだ。全身ハリネズミになろうとも倒れず、ひたすらレイラ王女を守る。
いわゆる弁慶の仁王立ちだ。
ちなみに他のボディガード達は帝国に裏切るか、王女を見捨てて我先に逃げ出したことにしている。
その影響だろうな。
麗良がすっげー信頼している眼で黒岩さんを見ている。
逆に黒岩さんは、少しおどおどしている。突然の麗良の変化に戸惑っているみたいだ。
ただ、さすがにプロだ。動揺していようが、仕事は着実にこなしている。
黒岩さん、もともと優秀な人っぽいから、麗良にますます信頼されているみたいだ。
今じゃ黒岩さん、麗良の筆頭ボディガードに昇進している。
「草乃月さん、一体どうしたんですか! こんな白石のような底辺になぜここまでするんですか!」
地べたに倒された宮本が必死に叫ぶ。
「どうやらお仕置きが必要みたいだな」
そう言うと、麗良はカバンから特殊警棒を取り出す。
まさか……。
皆、まさかと思ったに違いない。
この平和な日本で、学生が通う学び舎で、そこまでするはずがないと。
俺は、草乃月 麗良という財閥の一人娘についてはよく知らない。だが、中世の絶対王政の世界で女王として君臨していたレイラ・グラス・ヴュルテンゲルツについては誰よりも知っている。
何せ作者ですから。
予想通り、麗良は躊躇なくその警棒を宮本の顔面に叩き下ろした。
宮本の悲鳴が教室に鳴り響く。
ゴキリと鈍い音が鳴り、鼻骨が折れたことがわかる。
宮本は、大量の鼻血を出して、むせび泣き始めた。
「言ったはずだ。ショウへの侮辱は絶対に許さんと」
「あ、あぐぅ、あ、あ、ひどい。こんなに血が……鼻が折れて、ちくしょう。舐めやがって。ここまでされたら、俺も覚悟を決める。警察に言って……」
宮本が恨みのこもった目つきで麗良をにらみつける。
人ひとり殺しそうな視線だが、麗良は少しも意に介さない。それどころか、望むところとばかりに口角を上げた。
「面白い。警察か……では戦おう。草乃月財閥の総力を挙げて貴様をつぶす」
「はぁ、はぁ……う、訴えてやる。こんな暴力許されない、犯罪だ」
「そうか、ではまず法廷で戦おう。こちらは、法律のエキスパートを勢ぞろいさせておく。巨額の負債を抱えさせ、貴様の家をまずは破産させよう。破産して売るものもなくなれば、その身を裏稼業の者にでも叩き売ってやるか」
麗良は、冷酷な表情でたんたんと述べる。
脅しではない。本気だ。本気で宮本をつぶすつもりなのだ。
絶対王政時の国王を舐めてはいけない。敵と決めたものは、三族まで滅ぼすのが定めの世界だ。
麗良女王の気迫を受けて、平和な日本のただの高校生が太刀打ちできるわけがない。
宮本は、顔色を真っ青にしてかたかたと震え始める。
今更ながらに草乃月財閥の権力を、麗良の恐ろしさを再認識したようだ。
そして……。
「うぅ、わかりました。申し訳ございません。私が間違ってました」
「おいおい、謝る相手が違うだろう。まだ、教育が必要か?」
麗良が再度、特殊警棒を構えなおす。
「ひぃひぃ、すみませんすみません。そうでした。し、白石さん、大変申し訳ございません。償います。なんでも償いますから、どうかどうかお許しを」
宮本が震える手で財布を渡してくる。
同情はしない。俺も極限まで追い詰められ、ノイローゼ寸前だったんだから。
宮本の財布を遠慮なく受け取る。
これは、某有名芸能人が使っていた物と同じ、高級ブランドものじゃないか!
高校生のくせに、けしからん。
宮本の財布から現金を取り出す。
うぉ、諭吉さんが分厚いぞ。
宮本の財布の中身、すごかった。学生のくせにウン十万以上持ってたんだよ。
一気に懐が温かくなった。
今までの貯金がお遊びに思える。黒字も黒字だ。
どうしよう?
高校生なのに車だって買えちゃうぐらいだ。
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