第40話 結婚式①
「いよいよですね」
「そうだな。いいんだよな提出しちゃって」
「もちろんです♡」
1月の最終土曜日。
俺と美香は川野辺駅近くの市役所にいた。
今から婚姻届けを出すんだ。
明日が結婚式ということもあり、それまでに婚姻届けを出す予定だったんだけど、調べたら土曜日も隔週で市役所の窓口は開いていることがわかり前日の今日に提出となった。俺も美香も揃って休むとなると色々と調整が大変で。
「じゃあ提出するからな」
「はい」
俺は緊張しながらも記述を行った婚姻届けを窓口に提出した。
婚姻届け。当然のことながら滅多に書くもんじゃないし美香と2人で緊張しながら書いたな。美香なんか書いている最中ずっとニコニコしてたし。
ちなみに証人欄は俺達が付き合うきっかけにもなった人ということで西村ちゃんと呑兵衛横丁の店長に名前を書いてもらった。2人共喜んで記載してくれたな。
「はい。確かに受理しました。おめでとうございます」
「「ありがとうございます!」」
「あ、よろしければそちらで記念写真いかがですか?」
「え?記念写真?」
「はい。隣の部屋に撮影スペースを用意していますのでよろしければ」
「是非よろしくお願いします!」
美香が撮りたい様なので、俺達は職員さんの案内で隣の部屋に移動した。
部屋は普通の応接スペースだったけど端の方に[Just Married]と書かれた可愛らしいピンク色の背景板が立てかけられていた。
と職員さんは手習た感じで背景板をソファの後ろに立て、婚姻届けを用意してあった額縁に入れた。
そして、俺達はその額縁を持たされてソファに座るよう促された。
「じゃ撮りますね。あ、笑顔が少し硬いですよ。リラックスして!」
[カシャ]
「はい おめでとうございます!」
渡していたスマホを受け取ると笑顔で婚姻届けを持つ2人の姿が写っていた。
変なタイミングで撮られたけど中々綺麗に撮影されている。
と、のぞき込むように美香が俺に話しかけてきた。
「洋さん 洋さんこれで私達夫婦ですね」
「そうだな。美香も今日から相良 美香だな」
「うっ。。早く慣れなきゃですが何だか照れますね」
「美香は、まだ名字の変更とか手続きが大変かもしれないけどよろしくな」
「はい!」
市役所を出た後、俺達は呑兵衛横丁に向かった。
昼間の営業はしていないけど入籍の報告ということで店長に会うためだ。
まぁ明日の結婚式にも呼んでるし祝辞もお願いしているんだけど、店長はある意味で俺と美香のキューピットだからな。
事前に連絡をしていたこともありお店のシャッターは空いていて店長が・・・・
って結構人が居ないか?
「え?なんでお前らが?」
店内には店長の他に西村ちゃんと美香の同僚の三宅先生、それに北里夫妻と俺と美香の両親が居た。
「2人共結婚おめでとう!入籍の後、うちに顔出してくれるって聞いてな関係者に声掛けといたんだわ」
「関係者って・・・・明日の結婚式にみんな呼んでるけど・・・」
「まぁ細かいことは気にするなって前哨戦と思ってくれ」
「前哨戦って・・・」
「じゃ、洋!美香ちゃん!結婚おめでとう!!」
「「おめでとう!!」」
いやいや軽く挨拶して帰るつもりだったんだけど皆飲みだしちゃったよ。
って美香も飲み始めてるし・・・親父達は既に飲んでたのか顔赤いし。
酒好きな困った人たちだ・・・でも
「みんな ありがとう!!」
明日本番があるということで1時間程度軽く飲み食いして今日は解散となった。
皆準備とかもあるし、何より明日二日酔いで来られても困るしな。
準備と言えば、俺も美香も地元が川野辺ということもあり明日の結婚式に参列してくれる親族や知人も比較的近場の人が多い。
唯一遠方から参列してくれるのはアメリカに転勤中の雄一だ。
無理しなくてもよいと話はしてたんだけど"絶対行く!"との事で今日帰国し都内の親類宅に1泊し明日式に出た後すぐに帰るそうだ。
何というか本当ありがたいな。
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「楽しかったですね」
「ああ まさか店長に会いに行ってあんなお祝いを受けるとは思わなかったよな」
「そうですね。梨花ちゃんも昨日電話で話したのに全然教えてくれなかったし」
「まったくだな」
俺も西村ちゃんとは普通に一緒に仕事してたからな。
ポーカーフェイスが上手いというか・・・
「ま、明日はいよいよ本番だ。忘れものとか無いように準備しとかないとな」
「そうですね。そう言われると心配になってきました。早く帰りましょ!」
ちなみに美香とは俺のマンションに同居しており、美香の住んでいたマンションは既に解約済となっている。
そして、美香とも色々と相談した結果、前に内見した戸建ての家を新居として購入することも決めていた。
兄貴に話をしたら新築だが販売開始から期間も経っているということで結構値引き出来そうだったので予算ちょいオーバー位で何とかなりそうだったからだ。
手続きは始めたばかりだけど、内装など少し手を入れて春までには引っ越しを行える見込みとなってる。
結婚と新居購入。俺にとって今年は人生の節目だな。
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