第29話 打合せ②
永田さんが持ってきてくれたドレスは3着。
全て純白のウエディングドレス。正直どれも甲乙つけがたい。
でも凛子さん曰く。お色直しは色味があるドレスの方がいいということなので、純白のドレスはどれか1つに絞らなくてはならない。
「洋さん どれがいいとかありますか?中々選びきれなくて・・・」
「ん?美香はどれでも似合いそうだけど・・・これなんかいいんじゃないか?」
「お、兄貴にしてはセンスいいね。これAラインのお勧め品だよ。
若手のデザイナーの作品で、まだ無名だから人気だけどレンタル料はまだ結構安いんだ」
「じゃ じゃあこれ着てみてもいいですか?」
「うん。弘子ちゃん手伝って着せてあげて。私は兄貴のタキシード選んでくるから」
ということで私は永田さんとドレスを着るため別室へ。
洋さんは凛子さんとタキシードを選ぶため隣の衣装部屋に移動した。
「旦那様カッコいい方ですね。凛子さんのお兄様でしたよね」
「はい。本当にカッコいいです。それに優しくて、私なんかにはもったいない位で・・・」
「ふふ お似合いですよ。奥様もかわいらしいくて素敵ですよ」
「あ ありがとうございます」
「はい。出来ました。
うん。凄く似合ってると思いますよ。早く旦那様にも見せてあげましょ」
「はい」
私は永田さんに手を引いてもらいながらスタジオへと戻った。
と、既にタキシードに着替え終わった洋さんが凛子さんと談笑していた。
本当、男性の衣装は選ぶのも着替えるのも早いなぁ。
「凛子さん、小島さんの着替え終わりました。
「ありがとう。うん思った通り凄く似合ってる。
ほら、兄貴も感想言ってあげなよ・・・って見惚れちゃった♪」
見惚れてる?確かに洋さん口開けたまま私を見て固まってるけど・・・
「えっと、あの洋さん。どうですか?」
「・・あぁ凄く似合ってる。この間のドレスも良かったけど、これの方がいいな」
「あの・・・ありがとうございます。洋さんもタキシード素敵です」
何だか2人して照れて固まってしまった。
ニヤニヤしてた凛子さんが一言。
「ほら兄貴もいい歳して照れてないの。じゃドレスはもう1着選ぶから。兄貴は着替えてそこらへんに座ってて。美香ちゃんは可愛いんだからもっと堂々としないと。もう1着は色味があった方がいいと思うけど、弘子ちゃん見繕ってあげて」
「はい。じゃ美香さん行きましょ」
凛子さん流石だなぁ。
指示も早いし何だか"出来る女"って感じだ。
お酒飲んでる時とは随分雰囲気違う。
その後、永田さんに柔らかなグリーン系のドレスを選んでもらい再び洋さんに見てもらったけど、綺麗って褒められまくってちょっと恥ずかしかったな。
綺麗って言ってもらえるのは嬉しいけど。
ドレスが決まったということで、元の服に着替えた私たちは、式場内にある打合せスペースへ移動し、永田さん持ってきてくれた紅茶とケーキを頂きながら、式当日の流れと当日までの準備物などについての打合せをした。
正直なところ年末年始も挟むし私も洋さんも結構忙しいので余裕がない。
部活の顧問になると土日とかも試合が入ることあるし夏休みとか冬休みでも大会とかあるから中々休めないのよね。
洋さんも新しいプロジェクトが立ち上がったとかで最近毎晩遅いし・・・
「ということで、この紙に書いてあるのが当日までに兄貴と美香ちゃんに準備して欲しいものね。2人とも忙しそうだし式場側で準備できそうなのは私と弘子で巻き取るようにするから何とかお願いね」
「はい。 あのお手数をお掛けします」
「気にしない気にしない。未来の可愛い義妹の為ですもの♪」
「はい 凛子姉様」
「駄目、美香ちゃん可愛すぎる」
ということで、式の流れや音楽、食事などの打合せを遅い時間まで行った。
後はそれぞれに割り振られた作業を締め切りまでに行えばよいだけ。
でも、式が終わったら私"相良 美香"になるんだよね。
学校での呼び方はどうしようかな。山口先生みたいに小島先生のままにした方がいいかな。それとも相良先生って・・・・何だか呼ばれるたびに照れちゃいそう。
家も洋さんのマンションに一緒に住む予定だし、あっ引っ越しの手配もしなくちゃならないんだ。
う~ん。やっぱり結構忙しいな。
「美香、スケジュール大丈夫そうか?最近美香も忙しいだろ?」
「あ、はい。でも大丈夫です。私自身凄く楽しみですし、一生に一度ですからね。
洋さんこそ最近遅いみたいですし、お体とか大丈夫ですか?」
「ん?あぁうちの会社は忙しいけど、そこまでブラックじゃないからな。それに前に紹介したっけ?後輩の相原とか西村ちゃんも居るからね。俺が休んでも会社は大丈夫だよ」
「安心しました。それじゃ式まであまり時間は無いですが頑張りましょ」
「あぁ」
帰りのバスの中も2人で式の話をしながら帰ったけど何だか幸せ♡
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