第28話 打合せ①
<Side 美香>
体育祭。
最近バスケ部の顧問になって、少しは体を動かす様になってはいたけど運動不足は否まない26歳の私。
私が出場したリレーは他の先生方が頑張ってくれたおかげで2位。
私も何とか抜かれないレベルでは走れた(ギリギリだったけど・・・)
高校時代バスケ部だったということで、少し期待されてたりもしたみたいだけど
、私は基本インドアだし高校時代バスケ部に居たというのもある意味奇跡だったわけで・・・
まぁ何とか生徒たちの足を引っ張らない程度には頑張れたしA組も総合優勝できた。今年はスポーツ大会でも2年A組が総合優勝したけど、やっぱり自分が担任をしているクラスが勝利すると嬉しさも違うね。
な~んて教師らしいことを思ったりもしたけど、予想通り体育祭の後はしばらく筋肉痛が酷かった。
「先生大丈夫ですか?」
「え?あぁ大丈夫だ。まだまだ若いからね!!」
「は はぁ」
授業中も笑顔が引きつってたのかもしれないけど授業の合間の移動も結構きつかった。
でも生徒に醜態は見せられない!(もう既にみられてるという話もあるけど)
「美香大丈夫?何だか歩き方も変だよ」
「うぅ~結構きつい。って百合子は平気なの?」
「私?うん。私は普段ジムで鍛えてるからね♪
そもそも美香が運動不足なのよ。
呑んだくれて家でゲームばかりしてるから。
美香も通ってみたら?旦那さんもジム通ってるんでしょ?」
「だ 旦那さんって、ま まだ婚約しただけで・・・」
「ふふ 照れちゃって可愛い。でも明日は式の打合せに行くんでしょ?
午後休取ってたし」
「うん。土日一杯だったから」
そう。明日は凛子さんと式の打合せ。
本当は学校や会社が休みな土日が良かったんだけど予約がいっぱいで洋さんと調整して明日の午後に行くことになったんだ。
ちょうど明日は担当の授業もなかったから。
「でも梨花はともかく、美香にまで先を越されるとは思わなかったなぁ~」
「"まで"とは何よ"まで"とは。百合子なんてモテるんだからその気になれば相手だっているでしょ?」
「う~ん。男友達は多いけど、恋人とか結婚っていうとまた違うからね・・・」
「そうなんだ」
「そうよ。だからあんた運が良いのよ。初彼氏であんな優良物件に出会えたんだから。優しくて、お金持ちで、イケメンで、もう羨まし!!」
「確かに洋さんみたいな人に出会えたのは奇跡かも♪」
「・・・・はいはい ごちそうさま。 はぁ本当にいい人居ないかな~」
何だか意識はしていないんだけど、最近普通に惚気てしまうらしく、百合子や梨花にはよく"この幸せ者め!"ってからかわれる。うん。でも今凄く幸せかも♪
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翌日。
1限から4限まで2年生各クラスの授業を無事終了し、職員室で雑務を済ませた後、洋さんと待ち合わせの為に川野辺の駅に向かった。
洋さんも会社を午後休にするということなので駅で待ち合わせなんだ。
[今 横浜を出たから13:00には川野辺駅に着く予定]
[はい わかりました。私も13:00目途に駅に向かいます]
メッセージで洋さんとやり取りをして、私は学校を後にした。
少し早く駅前に着いた私は駅の待合室の椅子に座り凛子さんに貰ったパンフレットを見ていた。ドレスや食事のメニューなど今日の打合せの資料だ。
こういうのを見てると"結婚するんだなぁ"ってことが実感できる。
自然と表情も緩んでしまう。
「美香 お待たせ!」
「あっ洋さん」
「資料見てたのか?いいのあったか?」
「はい。でも見てるとどれも良くて♪」
「今日は実際のドレスも見れるみたいだし、そこで候補を絞ればいいさ。じゃ行こうか」
「はい」
ということで駅前から送迎バスに乗り凛子さんの待つ式場へ向かった。
駅から離れているので、無料送迎バスが1日に数回出ているんです。
これも凛子さんのアイデアだったらしいけど近くにバス停もあるけど、無料送迎バスを作ってからレストランや撮影スタジオを使うお客さんも増えたらしいからバスの運用費を考えても利益は出てるみたい。バスも広告が貼られたラッピング仕様で宣伝にもなってるし凛子さんってやっぱり凄い。
式場に到着し、私たちは2Fにある式場の受付へ。
洋さんが受付の女性に要件を伝え凛子さんを呼びだしている。
「お待たせ~」
程なくして、凛子さんが部下?と思われる女性を1人連れてやってきた。
始めてみる人だな。私よりも若い?
「いらっしゃい。打合せの前にこの子紹介させて。
今回の二人の式で私のアシスタントに入って貰う永田弘子ちゃん。
私が忙しくて連絡つかない時はこの子と話ししてね」
「はい。あのよろしくお願いします」
「こちらこそ、まだ新米ですがよろしくお願いします」
後で聞いたけど、永田さんは入社1年目の新人さんだけど、凛子さんが目を付けて面倒を見ている期待の幹部候補生らしい。
「じゃ、挨拶も終わったところで早速ドレスから行きましょ。
兄貴は後で適当に決めるとして美香ちゃんのドレス決めましょね!」
「て 適当って俺の扱い雑じゃないか」
「だってねぇ おっさんのタキシードより可愛い女性のウエディングドレスでしょやっぱり。ねぇ美香ちゃん」
「は はぁ・・・」(うぅ~返事しずらい)
と半ば強引に凛子さんに連れられドレスルームへ。
この間も写真撮影で入ったけど、壁一面にウエディングドレスが並んだ夢の様な部屋だ。本当目移りしちゃう。
「美香ちゃん。この間カタログ送ったけど、どれか気になるのあった?」
「ひゃ はい。あのこれと、これがいいなかって」
「ふふ 緊張しなくていいわよ。
うん これね。結構人気あるタイプだけどまだ予約取れるかな。
弘子ちゃんM-30とP-45のドレス、後A-20も用意して。
サイズはさっき渡した資料を基にして」
「はい!」
凛子さんの指示を受け、テキパキとドレスを選ぶ永田さん。
中々仕事も早いし凛子さんが目をつけるだけの事はあるのかな。
あ、洋さん凄く暇そう・・・
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