第2話

 そんな彼から突然の夜のお誘い。


デートに誘ってくれるなら、前もってアポを取っておいてくれれば、こっちだってちょっとはおしゃれしてきたし、さりげなくレストランでも予約しておいたのに。


「すみません、お待たせしました」


 同じ部署で同時にあがったはずなのに、なんで私より出てくるのが遅いんだろう。


「で、用事ってなに?」


「告白しようと思うんです」


 驚いて彼を見上げると、やっぱり真っ赤な顔をしたまま、前を向いて歩いている。


「どうやって告白したらいいですかね」


「誰に?」


「好きな人に」


「その相談?」


「そうです」


 雨上がりの濡れたアスファルトを歩く私の足は、本気で滑りそうになった。


「あぁ、そういうことね」


「ダメですか?」


「いいよ、別に」


 世の中そう甘くはない。


そうだよね、彼氏いない歴五年を迎えようとする三十路手前の先輩社員に、年下のかわいい男の子がふり向くわけがない。



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