第3話 忘れていた
pipipipipipipipipipipi
どうやら目覚ましが鳴ったようだ。一晩中ゲームをしていたら、朝になったようだ。眠いが学校の支度を始めなければ。何か忘れている気もするが、覚えていないのなら気のせいだろう。
俺が教室に入った途端、いつもとは違う視線をしている気がした。いや、いつもの視線以上に嫌な感じがした。俺は嫌な予感と共に心臓が少し苦しくなるのを感じながら席に着いた。今日は携帯など弄る余裕などなく、授業が始まるまで机に顔を突っ伏して寝ることにした。おやすみなさい。
zzz ん?なんだか騒がしいな。俺は午前最後の授業で睡魔に勝てず寝ていてしまったらしい。休み時間もほぼ寝ていたんだがやはり人間は睡魔には勝てないらしい。時間を確認するために、顔をあげるとそこにはあの美少女とクラスメイトがなにやら言い争っている姿が見えた。
「・・・・・・やっと起きた・・・・・・この人どうにかして」
「山吹てめーこの子に何しやがった!」
「何もしてないが・・・」
「嘘つくんじゃねーよ!くずが!あの時みたいにまた周りの人を困らせてんじゃねーぞ!」
「いや・・・・・・そんなつもりでは・・・・・・ごめん」
周囲から嫌な視線を感じる。苦しい。周囲から賛同の声が聞こえてくる。苦しい。早くここから離れよう。そう思ったとき
「・・・・・・いい加減にして。勝手に私が困っていることにしないで。私は駿に用があるの。それ以外のゴミ共は黙ってて。もしかして黙ることもできないの?それにゴミ共の方が迷惑」
俺は目を見開いた。なぜこの美少女は俺をかばってくれるのだろう。なぜ俺なんかのために・・・
心が少しだけ暖かくなる。こんな状況なのになぜか嬉しくなり、苦しくなくなった。
「んだてめー!後輩のくせに調子乗りやがって!そんなに自分から地獄に落ちたいなら落ちとけ!そいつと関わるとろくなことにならねぇからな!」
そう吐き残してクラスメイトの彼は友人の所へ行った。他のクラスメイトも我関せずの態度だ。美少女はドヤ顔をしているように見えた。
「・・・駿。外で話そ」
「あ、ああ。荷物まとめるから待ってくれ」
「・・・どうして?置いてけばいいのに」
「貴重品とかも入ってるしさ」
「・・・そう」
俺は急いで荷物をまとめ、教室から美少女と出た。そういえばなぜ俺の名前を知っているのだろう。まあ話せば分かるだろう。
「ここでいいか?」
「・・・うん」
俺たちは人がほとんど来ない空き教室へと来た。ここはあまり使われていないため少し埃っぽいから人が来ないのだ。
「それで用ってなんだ?」
俺は柄にもなく少しドキドキしていた。ちょろいのかもしれないがあの場を助けられて嬉しかったのかもしれない。まあこの美少女が来なければ何もなかったはずだから美少女のせいと言えばそうなのかもしれない。だがあの状況でかばってもらえた。嬉しかったという気持ちは嘘じゃないから。この気持ちだけは本当だから。俺は次の言葉に期待していた。
昨日俺がこの美少女に何をしたのかも忘れて、ただ期待していた。
「なんで昨日逃げたの?」
あっ・・・
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