第179話
「おっ、おい…。…どうしたんだ? …急に?」
「…あっ、あれ?」
…爆発しない? ステータスが間違えてたのか?
「いや、爆発するかと思ったんだけど…」
「大げさだな…。よっと…」
エリックはスッと立ち上がり牢屋の中にあるチョーカーを手に取った。
「ごっ、ごめん…」
「大体、こんなちっぽけなものに…」
…本当に大丈夫なのか? まあ、爆発しないなら問題ないんだけど…。…ん? …なんだ、これ?
下を見るとステータス画面に妙なメッセージが浮かび上がっていた。
〈爆破機能自体は失われていません。現在はチョーカーを装着していませんが、装着している状態と同じになっているようです〉
「なっ!? エリック、やっ、やっぱり…」
「つっ、ついてた…。大丈夫だ…。センサーを無効化したことで、偶然…というか連動するようになってる爆破機能も無効化できたみたいだ…」
エリックは慎重にチョーカーをベッドに置いて青ざめながら牢屋からでてきて、僕の体に当たった。
「おっと…。…だっ、大丈夫?」
「だっ、大丈夫じゃねえよ! もっと早くいえよ! はぁ…はぁ…。寿命が縮まった…。カッコつけて外すんじゃなかった…」
「ごっ、ごめん…」
「いや…俺が悪かった…。それで…これからどうする気だ?」
「とりあえず、これに着替えてよ」
僕はステータスに透明になれる服を作ってもらった。
「…これは?」
「透明になれる服だよ。とりあえず、着ててよ。ノスクに声をかけてくるから…」
「なるほど…。まったく…お前ってやつは、すごいな…」
僕はエリックが着替え始めたのを見るとノスクが入っている牢屋の扉のカギを開けて入った。
「おい…ノスク…」
「ごっ、ごめんにゃ…」
布団が震えながら声をだした。
「別に怒ってないって…。ノスク、助けにきたんだよ…。そもそも、俺が死んだところみてないだろ?」
「たっ、確かにそうだにゃ…」
かわいい顔が飛びだすと辺りをキョロキョロと見渡した。
「ごめんな、ノスク…。すぐに助けにきたかったんだけど、俺も牢屋に閉じ込められてて…」
「いっ、いいんだよ…。お互い無事でなによりだよ…。ところで、どこに隠れてるのかにゃ…」
そうだな…。顔だけでもみせるか…。
「よっと…。ノスク…ここだよ…」
「にゃっ、にゃまくび…。うにゃ…」
「おっ、おい、ノスク!?」
ノスクはどうやら気絶してしまったようだった。
しまった…。目の前に顔だけ急に現れたら驚くよな…。
「ったく、仕方ねえやつだな…。まぁ、寝てるほうがいいか…。それで、チョーカーはどうやって外すつもりだったんだ?」
「うん…。一応、僕が知ってる方法は二つ…。指定された魔力を注入しながら解除…。でも、その方法は安全だけど、一つ問題があって…。センサーが反応するみたいなんだ…」
エリックは頭を掻きながら、しゃがみこんでノスクのチョーカーを眺めていた。
「なるほど…。確かに構造上そうかもしれないな…。…もうひとつは?」
「もうひとつは…回復しながら無理やり爆発させて外す」
「なっ!? はっ、外すというか外れるというか…。まあ、いいか…」
僕もしゃがみこんでノスクのチョーカーを眺めた。
「エリックはどうやって外したの?」
「なんていうかな…。どうもこれは雷の魔法が使われてるみたいでな…。常にこのチョーカーに雷が流れてるみたいなんだ」
「それで?」
「それで、外したり…。あとは、ここから離れ過ぎたりしたら爆発するみたいなんだけど…。ここ見てくれ…。この部分に雷が流れなくなるとドーンと爆発する」
エリックはノスクの首輪を指差した。
「なるほど…。つまり、電気を流しながら外せばいいのか…」
「いや、それじゃダメなんだ…。どうも、これは魔力も感知するみたいで…。例えば俺が手に雷を流しながら外すとドーンだ…」
「じゃあ、どうやって…」
「このチョーカーの物理的な欠陥をつく…。これをつけたまま、強い雷を流し続けてセンサーを壊すんだ」
「そんなことが…。…でも、少し簡単すぎないか?」
「ああ…。でも、試すやつなんていないだろ? 俺だってスキルがなかったら気付かなかった。それにやりすぎると変なところまで壊れて爆発するしな…」
「よっ、よくやったな…」
「死ななくてよかったよ…」
エリックは首元をさすりながら、立ち上がった。僕はステータスに今の事を尋ねてみた。
「……」
ステータス、今の話を聞いてセンサーを発動せずに誰でも安全に取り外す方法ってないの?
〈ありますが、これ以上の操作は権限をもらわなければできません…〉
「……」
…権限? 権限ってなんだ? それをあげたらどうなるの?
〈それ以外の言葉がみつかりません…〉
「……」
…ステータスが強化されるの? …俺にデメリットとかある?
〈強化というよりは更に深いところまで、操作を行います。デメリットは計り知れません…〉
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