第115話
操縦席の方へ移動すると、光輝く中に大きな剣が浮かび上がっていた。
「やっ、やっぱりだ…。俺の作った剣だ…。なっ、なんであんなところに!?」
横を向くとウィンディーネ達は顔を見合わせてなにか話していた。
「…ウィンディーネ、どうしたんだ?」
「多分、あれね…。あれが悪魔を制御してるのよ」
「あれって…。エリックが作った剣がってことか?」
「そうよ…。まあ、本人に聞けばわかるでしょ? …ね? 犯人さん?」
エリックはガクッと膝をついて動揺していた。
「おっ、俺の剣が? そっ、そんな、バカな…」
「みなさい…。尻尾の動きが明らかに変わってきてるわ」
「俺がこんなふうにしたっていうのか? おっ、俺は…なにも知らなかったんだ…。おっ、俺は…」
エリックもこの様子だと騙されていたんだろうな…。少しかわいそうだな…。
「ウィンディーネ、犯人はいいすぎだ」
「ふんっ、ホントのことよ。被害者ぶるのはやめなさい。…知らなかったんだ? 違うでしょ! 知ろうとしなかったのよ!」
なんか心に突き刺さるな…。確かに作る側にも責任はあるのかもしれないな…。
僕はウィンディーネの言葉になにもいえないでいると、エリックはゆっくり起き上がった。
「…エリック、大丈夫か?」
「確かにそうだ…。そのとおりだ…」
「…えっ?」
僕が声をかけるとエリックは真剣な眼差しでウィンディーネを見つめた。
「ああ、大丈夫だ…。ウィンディーネ様、俺が悪かった…。頼む…俺に力を貸してくれ。俺も責任を取りたい…」
「無理ね…」
「たっ、頼む!」
「いや、無理なのよ…」
「そこをなんとか頼む」
「そういう意味じゃなくて…。…もうっ! 私じゃなくてヴォルトにいいなさい! あなた、水属性の相性があんまりよくないのよ…。ほら、ヴォルト!」
ヴォルトはエリックの目を見たあと、くるくると回りだすとエリックの胸に棒状のペンダントが浮かび上がった。
「なっ、なんだ!? 力が溢れてくる!?」
ウィンディーネはエリックの頰を触ったあと、少し怖い顔をした。
「よかったわね…。ヴォルトが優しくて…。でも、裏切ればわかってるわね。ヴォルトがやらなくても私がやるわ…」
「そんなつもりはない…。アル、俺はなにをすればいい?」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ。…ウィンディーネ!」
僕はウィンディーネの前に立った。ウィンディーネはヒラヒラとこちらに飛んできた。
「…なに?」
「ウィンディーネも誰かに加護を与える事はできるのか?」
「…私にも力を貸せと? …あなた達、人間に?」
「頼む…。なんでもするから…」
ウィンディーネは僕が頼み込むと、腕を組んで嫌そうな顔をしながら目をつむった。
「そうね…。うーん…」
「お願いだ…。ウィンディーネ…」
「まあ、仕方ないわね…。じゃあ、そこの剣を真っ二つにしたやつ…。前にでてきなさい!」
「…わっ、私か!?」
シオンさんはウィンディーネに近づいた。
「私の剣を真っ二つにした愚かな人間よ。力を貸しましょう…」
「うっ…!」
「…本当に愚かな人間よ……」
二回いうとダメージニ倍みたいだな…。
シオンさんは段々と前屈みになっていった。本当に申し訳なさそうな顔をして謝った。
「…ほっ、本当にすみませんでした……」
「わかればいいわ…。…でも、あなたは氷の方が相性いいかもしれないわね…。まあ、いいわ…」
ウィンディーネはシオンさんの周りをくるくると周りだした。
「ちっ、力が溢れている…のか?」
シオンさんが、不思議な顔をしながら手を開いたり閉じたりしていた。よく見るとウィンディーネも何故か不思議な顔をしていた。ウィンディーネはシオンさんの耳元に近づき、よく聞こえなかったがなにかをいったみたいだった。
「ゴニョゴニョ……。…ゴニョ?」
「…ちっ、違うにゃ!」
「動揺しすぎよ…。あんた、なんかノスクみたいね…。まあ、嫌いじゃないわよ…。あなたみたいな正直な子…。あなたには少し別の力を貸しましょう」
ウィンディーネがシオンさんに触れてつぶやくと、シオンさんの体は青く光り姿が変わっていった。それはまるでウィンディーネのようだった。
「…こっ、これは!?」
僕がシオンさんのHPを確認するととんでもない数値だった。
「…HP五千万!?」
「そっ、そんなにあるのか!?」
「少し別の方法で力を貸しただけよ…。まったく、恐ろしい力ね…。抑えるのが大変よ…。…さて、それでどうするの?」
「…なにを?」
「はぁ…。なにを?って…」
ウィンディーネは疲れきった顔をして僕の肩に乗った。
「…どうした?」
そして、僕の耳をガシッと掴むと大声で叫んだ。
「どうしたじゃないわよ! 作戦よ!! あなたがリーダーなんでしょ!?」
「うっさ…! …いや、リーダーってわけじゃ…。まっ、まあ、考えるけどさ…」
さてと、どうするか…。今の状況からすると…。いつものゲーマー理論で考えるか…。
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