第116話
まずは、魔物を制御しているあの剣を破壊する…。
「うーん…」
いや、だめだ…。こういうのは、下手に破壊すると暴走するかもしれない…。とりあえずはやめておこう…。あとは、操ってるやつを倒す。…っていうか、そもそも誰なんだ? あの魔物を操っているやつは…。シオンさんに似たやつなのか? エリックなら、なにか知っているかもしれない…。
「エリック、あの剣を作らせたのは誰なんだ?」
「アルもあったはずだ…。カジノのオーナーだ」
「あいつか…。あいつが、操ってるのか?」
「それは…わからない」
「だよな…」
なら、あの魔物を再封印する…。これができれば簡単なんだが…。
「ウィンディーネ、あの魔物を封印できないのか?」
「無理よ…。そもそも封印は完全には破られてないのよ…。何重にもかけてる一部が解けたの…。そもそもなんで動いてるのか…。私もわけわかんないわよ」
だよな…。やっぱりあれしかないか…。ゲームだと一番シンプルで一番ヤバそうな展開だ…。待てよ…。そうだ…。大事な事を聞いてなかった…。一応、聞いておこう…。
「なあ、ウィンディーネ…。昔、悪魔が暴走した時、尻尾以外でなにか異変は起きなかったのか?」
「うーん…。かなり昔のことだからね…。なにかとんでもない事があった気もするけど…」
「…とんでもない事?」
「うーん…。ちょっと待って…。もう少しで思いだせそうな気がする…。うーん…。なんだったかしら…」
ウィンディーネが頭を抑え込むんで数秒後にアリスが大声をあげた。
「みっ、みんな、みて! とんでもない巨大なモンスターが!」
モニターを見るとモニター越しでも簡単にわかる巨大なモンスターが何体もゆっくりと土の中から起き上がっていた。
「なっ、なんだあれ!?」
「…思いだしたー! 巨大ゾンビモンスターが動きだしたのよ!」
ウィンディーネはモニターを指差して、スッキリした顔をしていた。外からは恐ろしい程の大きな唸り声が聞こえた。
「…グゥォオオオオオオ!」
「…なっ、なんで、そんな大事な事をいわないんだ!」
「わっ、忘れてたんだから、仕方ないじゃない!」
「まっ、まあいいか…。よくないけど…それからどうなったんだ?」
「あの悪魔はHPを与える事ができるのよ。だから、たちの悪いモンスターを次々復活させて…。倒せないモンスターを作りだしたのよ…」
「なるほどな…。よし、みんな聞いてくれ…」
僕はウィンディーネの言葉を聞いて作戦を決めた。皆の顔は恐怖と緊張感で笑顔が消えていた。
「作戦はこうだ…。シオンさん、シャル、エリックは、あの巨大モンスターの相手をしつつ、下にいるドワーフ達を避難させてくれ…。もし、状況が更に悪くなった場合はあの剣を破壊してくれ…」
僕がそう伝えると、前にでてシオンさんが質問をしてきた。
「…悪くなった場合というのは?」
「死人がでそうなとき…かな…。ただ、あの剣を破壊しても状況がよくなるとは限らない…。できるだけ頑張ってほしい」
「了解した…」
「…次にアリス!」
「…はっ、はい!」
「アリスは船にお留守番だ」
「…うっ、うん」
アリスはお留守番という言葉を聞くと少し悲しそうな顔をしていた。
「アリス…勘違いしているようだけど、今回はアリスが一番大変かもしれない…」
「…どういう事?」
「もし、皆がピンチになった時はこの船に戻る事になると思う…。そんなとき、この船がピンチだったらまずいだろ?」
「うん…」
「だから、絶対に捕まらないでくれ。この船の攻撃装置をフルに使ってでも!」
「うっ、うん! 私、頑張る!」
「よし、説明は大体終わりだ。あとは…」
僕が言葉を発しようとすると、アリスが急に話しかけてきた。
「待って…。…アルはどこにいくの?」
「俺はあの穴に入って本体を倒す…。まあシンプルだけど、これで、片付くだろ…」
僕はネズミの尻尾がわんさかでていた穴を指差した。
「…一人で大丈夫なの?」
「…なんだ? 心配してくれてるのか?」
「うっ、うん…。そう…だけど…」
「ありがとな…。俺は、まあ大丈夫だ…」
「大丈夫って…」
「まあ、今度説明するさ。さて、あとは質問がなければ…。…って、なにするんだ、ノーム!? 遊んでいる場合じゃないぞ!」
何故かノームは僕の顔面にものすごい力でへばりついてきた。
「…ねえ、アル? ノームがなにかをいってるよ?」
シャルが話しかけてきたが、なにも見えなかった。僕はノームを捕まえて、なんとか手のひらにおいた。
「おい、離れろって…。…ったく……。ふっ…! …ん? ふっ、ふっーん! はぁ…はぁ…。やっと離れた…。…いってるってなにを?」
「よくわかんないけど…。返したって…。あとは使い方に気をつけろって…」
「…なんの話だ?」
「わかんない…」
「…って、今度はウィンディーネにヴォルトまで!?」
今度は目の前にウィンディーネとヴォルトがふわふわと浮かんでいた。
「なんで、私があんたの顔面に抱きつかなきゃならないのよ。ノームから事情は聞いたわ…。ほら、魔石のペンダントだしなさい…。強化してあげるわ…」
「ああ、そういう事か…。これだ…」
僕はアリスからもらったペンダントを首から外した。
「よし、いくわよ…。はぁあああああ…」
ペンダントがふわふわと浮かびだしたあと、青紫色に輝き出した。
「すごいな…」
しばらくすると輝きが小さくなり、何事もなかったようにペンダントがふわふわとまた僕の手に戻ってきた。
「はい、終わったわよ…。ついでに、チャージしといてあげたから感謝しなさい」
「ウィンディーネ、ありがとう…。それにヴォルトも…」
「なかなかいい感じにできたと思うわ…」
僕は目をこらすと、とてつもないMPが表示されていた。
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