第60話 敵も味方も蟲まみれ

 コロナワクチンを打った後、自宅で眠っていたときの夢。


 スマホで遊べるゲームをしていた。

 主人公パーティーは墓場にいる。

 敵ボスの居場所へ向かって横スクロールで画面左へ歩いている。

 横スクロールのアクションというわけではなく、この箇所の演出だ。


 キョンシーなどが出そうな中華風。

 これもゲーム全体ではなく、このステージの特徴かもしれない。


 戦闘システムはFGOとそんなに変わらないらしい。

 敵ボスが現れ、戦闘が始まろうとしている。


 髪の毛が巨大ムカデと化した妖術師、というか巨大ムカデの先端に人型の妖怪がくっついたような姿の敵ボス。人型部分も普通の人間より巨大かつグロテスク。

 ビジュアル的に私の苦手なやつだ。 


 けれど、たまにガチで恐いやつが登場するのがこの作品の味である。許容範囲で味わってやろうじゃないか。


 ……と思ったら登場演出がやたら長い。


 陰風颯々、大百足部分が旋風のように画面いっぱいに渦巻くのをチラチラ見ながら

「なんてこった! パーティーの魔術師シンディは虫が苦手だった。敵との相性を考えて編成を決めたはずが……。なる早で控えメンバーと交代させなくちゃ」 

と考えていた。


 敵の人型部分が着地して長柄の武器を構えた。大百足部分は宙に浮き画面端で見切れている。

 さあ戦闘だ。

 さっさと倒して敵の姿をなるべく見ずに済ませたい。


 と思ったらまだ演出があった。

 味方にも虫っぽいやつがいて、しかし仮面ライダーみたいに格好良いわけではないのだった。


 黄緑色の上着を着たイケメン風の姿をしているが、何かにつけて、羽化したての昆虫をゆるキャラ化したような、触覚までもぷにぷにした水色の昆虫っぽい何かが8匹くらい背後から顔を出してくる。そのせいでイケメンの頭部が埋まってしまうのだ。


 早くシンディちゃんを退避させてくれ……と思っているうちに目が覚めた。


  *  *  *


 魔術師シンディは拙作「君果て」のシンディなのか?

 私は自作がゲーム化される夢を見ていたのか?

 モロー対キョンシーのアンデッド対決はあったのか?

 疑問の尽きない面白い夢ではありました。

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