第53話 同好会を作ろう!

 サッカー好きの10代女子と知り合いになり、サッカー同好会を作るというので何故か私もメンバーに入っていた。

 発案者でリーダーの10代女子、その知人のアラサー女性、私、私の友達P、の4人。


「4人いれば二手に分かれてディフェンスとオフェンスが出来る!」


 そうなの?!

 もはや違うスポーツじゃない?

 このメンバーの平均年齢もスポーツ苦手率高くない?

 その筆頭は私。

 とにかく明日さっそく練習を始めることになった。


 しかし難問が。

 同好会の発足者にしてリーダーの女の子は、ボール等の道具を父親が営む雑貨店の天井裏にしまっていた。

 雑貨店はいま私たちのいる商業ビルのテナントだ。

 明日は店が休みなので店長である父親は来ない。リーダーは店の仕事に関わっておらず、鍵を持っていない。

 「なら私物を置くな!」と言いたいが、夢なのでそこはいい加減だ。


 では今日のうちに雑貨店に寄って道具を回収すればいい……と思いきや、閉店時間を過ぎている。

 ダメ元でみんなで寄ってみると、店の明かりが消えて誰もいない状態で、鍵が開いていた。

 閉店作業中にトイレにでも行ったのだろうか。

 

 こっそり店に入り天井裏を開けてサッカー用具を取り出そう!

 ということになった。


 泥棒と間違われたらイヤだな!


 店や天井裏の様子がわかるリーダーが、奥へ脚立を取りに行った。

 ほかに店の人と面識がありそうなのはアラサー女子しかいない。


「表で待っていて、店の人が戻ってきたら事情を説明してください」


 私は彼女に頼み、リーダーについていく。

 Pが脚立を支え、取り出されたものを受け取る係は私がやる。


 天使の羽根のついた銀色のハートのクッションが渡された。

 まさかこれをボール代わりに? などということはなく、たんに探し物をするうちに汚したくないからどけたそうだ。

 とりあえず平らな台の上に置く。

 

 リーダーは天井裏の奥へ入ってゆき、下から見えないところへ行ってしまった。

 探し物は難航しているらしい。

 私は待つ間に、さっき買った文庫本を読み始めた。

 実在する誰のというのでもないが、カクヨムの詩集を書籍化したものだ。

 

 励まされる言葉、もの寂しい言葉、どれも心を慰めるような味わいがあった。装丁も美しく、どのページにも花や風景のすてきな写真が添えられている。


 読み返したい章があって探していたら、どうもページ数が合わない……と思ったら、そうではなくて、写真だけが載っているページがちらほらあるので数え間違えたのだった。

 そうしたページにはページ数が書いていない。見映えを優先したなら仕方無いと思う。


 こんな文章を書けるようになりたいし、いつか素敵な本を出せたらいいな。


 リーダーが出てこないうちに目が覚めた。







 



 

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