きらきら光の中

遠谷カナ

第1話

真っ暗の中、ステージに向かって5色の小さな光が幾つも重なり、揺れる。やがて光は、彼らを包み、さらに輝きが増す。

甘い歌声が流れる。5人の声が重なり合い、ハーモニーになる。


“輝く君の中で”


彼らファイブナンバーのライヴで、必ず最後に歌うラストナンバーだ。



「お疲れ様ー」

「今日も良かったよー」

黄色い声援が飛び交う中、舞台袖に戻ってきた5人の顔には、少し疲労の色が浮かぶ。

全国10都市を廻るライヴツアーは今日が最終日、全力集中した二時間半のあとは打ち上げが待っている。それが終わると3日間の休みがあって、それぞれの個々のドラマとかバラエティーの仕事が入っている。

目下、売出し中の彼らは忙しい。


「着替え終わったら、車乗ってねー、いつもの焼肉屋だから、肉いっぱい食べれるよー」

若い彼らは、これだけ疲れていても肉となると話は別物らしい。少しだらけ多雰囲気の中でも引き締まる。

着替え終わった彼らをワゴン車に押し込んで、助手席へと身体を滑り込ませた。


「マネージャー、喉乾いたー」

5人の中で1番年下の小鳥遊皐月くんが小さく可愛らしい声で訴える。

「このボックスだろ、ほいよ」

この声はリーダーの安永隆一郎くん、1番歳上の彼は、それぞれの好みに合わせて用意した飲み物をみんなに配ってくれた。

少し、心配してバックミラーから彼らの様子を探る。体調壊したりしてないだろうか、どこかぶつけて怪我などしていないだろうか。

皐月くんみたいに、自分の感情を素直に表現してくれるのは有り難い。

その点、天野創くんなんかは、全然態度や顔に出ないから、最初はコミュニケーション取るのも苦労して、我慢しちゃう子だからいつの間にか捻挫してたなんてこともあったなぁ。

彼らのマネージャーになって、もうすぐ3年、2ヶ月後にはデビュー2周年イベントがある。

俺も気合入れないと、と少し眠気が出てきた自分の頬を両手で叩いた。

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