第4話 ジョーカー

 その時、スマホの着信音が響いた。

 朝から憂鬱な音だ。どうやら俺のスマホのようだ。

「ン……」

 クリスが、スマホの着信画面を覗き込むと眉をひそめた。


「何、これ…… 変なの。

 『ジョーカー』だってェ……」


「え、ジョーカー……❓

 ああ、親友の馬場ババッてヤツだよ」


「フフゥン…… 馬場ババだから、ジョーカーなの。ひねりないねぇ~❗」


「まァ~な…… ッたく、朝っぱら何だよ」

 スピーカー機能にしてつないだ。

「もしもし……」


『あ、シンゴ君❓ 俺、俺ェェ~』

 馬場はスマホの向こうでまくし立てるように怒鳴っていた。


「はァ~ー、オレオレ詐欺か……❗❗

 ッたく、そんなにわめかなくッたッて聴こえるよ……」

 

『大変なんだ❗ 助けてくれよォ~❗❗』

 

「バァ~カ、こっちだって、緊急事態スクランブルなンだよ」

 いつまでも全裸でいられない。慌ててパンツを穿いた。


『頼むよォ~❗ シンゴ君❗ 親友だろ❗ 

 助けてくれよォ~❗❗』

「何だ…… 風俗嬢に毛ジラミでも感染ウツされたか❓❓

 オレよりも医者へ頼めよ❗❗❗」


『違うッてェ……、もっとヤバいンだよ……

 このままじゃ、オレェ、殺人犯にされちまうよォ~❗❗❗』


「え、なんだ…… 誰を殺したンだよ……」

『殺すかァ~ー❗ ジョークじゃないンだよ…… 今、警察が来て、任意で取り調べ受けろッて』


「ン…… マジかよ」

 どうやらこの口調だと冗談では済まないようだ。

「ッで、誰を殺した容疑なんだ」


『それが…… ラブリッて言うデリ彼女カノだよ』


「な、デリ彼女カノォ~?」

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