ずっと…… 3
藍の実家は一軒家で、
こういうの、何ていうんだっけ?
デザイナーさんが手掛けていそうな、洗練された形をしていた。
なんかこう……シャープな感じ?
「かっこいい形だね」
「達郎さん…母さんの旦那さん、建築デザイナーなんだ」
おお。どうりで。
オレが感心していると、笑いを堪えながら藍が「ほら、行くぞ」と、オレの横を通って門扉を開けた。
中に入り、石畳を歩くと目の前には、2つの扉。
1つは、SHIZUKI もう1つには、筆記体の英字で何か表記されていて、下の方に一級建築士 紫津木達郎 と記されていた。
「隣は、達郎さんの個人事務所」
おおっ。
「ただいま」
ええっ! ちょっちょっと待って、まだ覚悟が…
オレが色々感心してる隙に、藍は実家の扉を開けてしまった。
仕方なくオレも、藍に続いて中に入る。
「ぉ…じゃま…します」
どんなお母さん何だろ。当然美人何だろうけど…
オレのこと…どう思うだろ…。
あれ?ていうか…オレ達の事…知ってるのかな?
突然来ちゃったから、何も打ち合わせしてないんだけど?
「ねぇ、藍?」
その辺の事を訊きたくて、藍の袖口を引っ張ったら、パタパタと奥からスリッパの音がして、目の前に現れたのは_、
お母さん、若っ!!
ロングの髪を緩く後ろで1つに纏めていて、後れ毛を耳にかけながら藍を見上げている様は…はっきり言って、美人です。
「あーくん、おかえりぃ」
…あーくん?
「だから、あーくんて呼ぶなつってんだろ?」
藍は、恥ずかしいのか顔を赤くして拗ねたような表情だ。
「何?あーくんて、呼ばれてるの?」
「うるせぇ」
「あら?そちらの方が?」
あっ!!
「し…失礼しました。私、如月愛と申します。藍さんと、お付き合いさせていただいてます!」
ぁ…つきあってる事、言っちゃって良かったのかな…?
不安になって、お辞儀したまま藍を見上げると、小さく頷いて微笑んでくれた。
話してくれてたんだな。良かった…。
オレがホッとしていると、藍とそっくりな笑顔で、
「藍の母です。さっ、上がって下さい」
と、部屋の方へオレのことを促してくれた。
藍を伺うと、靴を脱ぎ始めていたので、オレも隣に並んで靴を脱いだ。
「失礼します」
二人に続いて廊下を歩く。
めちゃくちゃ緊張してきた。
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