第1話 事実と真実 1


帰りの車内は、行きと違って話が弾んだ。


やり遂げた後で、緊張が解けたせいでもあると思うけど…。


哲哉さんが、気を遣ってくれたのかもしれない。


今週は、校長先生と教頭先生が、揃って出張中だった事や、他の先生方も、何とかすると、宮内先生が話していた事。

昔から、人の弱味を握る事が得意な奴だった事等を話してくれた。


マンションの駐車場で、良かったらお昼食べて行きませんか?と、誘ったら、

それまでの軽い雰囲気から一転して、龍児と一緒なら。と、マジメな顔で了承してくれた。


オレ…マズい事言っちゃったのかな…?


一条さんから、用が済んだら、サッサと帰れ的な事を言われてたとか…?



哲哉さんが、一条さんと連絡を取ってくれて、会社の近くのレストランで待ち合わせする事になった。


商業ビルの一階にあるそこは、レストランというより、カフェ風で、テラス席には、何組かの男女が、温かい飲み物を飲んでいた。



「オレ、じじぃだから、中の席でいい?」



返事の代わりに吹き出してしまうと、



「ムードが無くてごめんね。」


と、頭を掻きながら少年のような笑顔をくれた。


砕けた感じで接してくれてるけど、仕事中の彼は、雰囲気が変わるんだろうな。なんて…想像してた。

だけどまさか、この後直ぐにその顔を見る事になるなんて、思ってもみなかった。

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