藍のアパートで…… 13


藍の独り言




「…スケベ。」


「ぁ…ご…ごめっ…おやすみなさい!」


「…おやすみ。」



慌て過ぎて、転びかけてるし…


ったく…


真っ赤な顔して、オレを見てたな…。



オレは、タオルを頭からかぶり、ソファの背もたれに身を預けた。


落ち着け…オレ…。



何でアイツ…いつまでも変わらず、純粋のままなんだ…?


アイツを抱こうとした時…

オレは、ドス黒い感情に支配されていた。

恐らく…嫉妬ってヤツだ。


アイツが風邪で、意識を失った時、風呂に入れた事があった。


オレの理性と本能の戦いだと思っていたんだが、実際は、そうじゃなかった…。


アイツの後ろから、どこの誰かもわからねぇヤツのを出していた時、怒りしか湧いてこなかった。


愛は、意識が無いながらも、オレのその行為に、眉間に皺を寄せて、時々声も漏らしていた。


だが今は、オレの指の動きに反応し、

甘い声をあげている…

そう思ったら、意識がぶっ飛んでた。


しかも、それだけじゃねぇ。


むしろ、こっちの方が問題だ。


愛のモノを愛撫している時、


葵さんの顔が浮かんだんだ…



最初、その理由がわからなかったが、


愛が出した青白い液を飲み込んだ時…わかったんだ。


オレは、どっかで、葵さんに対抗意識があったんだ。

 

葵さんがやった行為を責めるつもりはない。

でも、割り切れ無い気持ちもあった。


それが、出ちまった。


飲み込むだけじゃ、気が済まなくて、

バキュームして、さらに丁寧に拭き取るように、舐め取った。


そんな…ドス黒くなってたオレをアイツが、救ってくれた…。

 

あんなキスしておいて、バイキン消毒したって…?


反則だろ…?



すっかり、毒気を抜かれちまった…

 


アイツのトラウマを何とかしたくて、

アパートに連れてきたけど…



悪かったな…



愛…

  


今度は、ちゃんとお前を抱かせてくれ。






 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る