好きだなんて言えない
蒼井 草太
第1章
マンションのリビング_。
何もする気になれず、出窓に座り、ぼんやりと窓の外を眺めていた。
いつの間にか、新緑の季節は終わり、
深い緑が鮮やかになった街路樹の木々は風で揺れていて……
オレは、そんな景色をただ眺めているだけ。
ただ、瞳に映すだけ。
何も考えない。何も想わない。
オレは、人形。
感情なんて、邪魔なだけ。
彼に出逢うまでは、そう思っていた。
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