第7話 僕の友達の様子が…(3)
〜 あるお昼休みでのこと〜
「おーい‼、朱希〜!」と廊下の方から声がした。
ちょうど、僕と朱希でお昼を食べようとしていたときだった。
その声が聞こえてきた時、朱希は「この声って…まさか…」と声を漏らしていた。
そして声の主が姿を表してきた。
「あ、朱希〜いたいた!」と笑顔で言ってきた。声の主は己丞君だった。
「お!桜花ちゃんも一緒だったんだ〜、久しぶり〜」と僕にも声をかけてきた。
「うん、久しぶり〜」何気ない感じて返した、が朱希は…
「また、あんた?こんな教室でなんで私を大声で呼びに来てんの?」少し不機嫌そうな様子でそう返した。
「ごめん、ごめん、朱希にちょっと用があってさ〜、ちょっと着いてきてもらっていい?」いつもの安定の笑顔でそう言った。
「なんの用よ、ってか用があるならここで伝えてほ…」と朱希が話している途中で、己丞君が朱希の手を握って、「ごめん、ちょっとだけだから。」と言ってから
「桜花ちゃん〜ちょっと朱希借りてくね〜」と言いながら朱希を連れて走っていってしまった。
「あ…い、いってらっしゃーい…」なんだか微妙な感じで送り出した。
ただ、朱希方は…「ちょ、ちょっと待って‼なんで連れていかれるの~!!」全然納得していなかった。
そして、誰もいない廊下へと行き二人っきりとなった。
「あー‼もう!、なんであんな強引に連れて行くわけ!?」こんなことはしょっちゅうあるが朱希からするとたまったものではない。
「ごめん、素直に頼んでもダメかと思ったから。実は、悠雨と桜花ちゃんのことで協力して欲しくて。」己丞には珍しくいかにも真面目そうな顔つきで頼んできた。
「あ、もしかしてあんたも気づいたの?二人の様子がおかしいって。」
「いや、自分は悠雨の様子しか見てないけど、聞いてみたら桜花ちゃんとの事って聞いたからさ〜、だからここはひとつ!お願い!」己丞にしては結構真面目に頼み込んでいる。それは朱希自身もわかっているので…
「頼まれなくても一人でやるつもりだったし、わかった。一緒にやろう」そう返すと、
「あ、ありがとう!!」すごい嬉しそうな様子だった。
「ただ、毎回ああやって連れていくのはやめて!あんたもわかっているだろうけど、あれのおかげで色々と面倒なことになってるの。」
朱希の言う面倒なことそれは、休み時間や間の時間に何人かの女子に呼び出され色々問いただされたり時には嫌がらせを受けたりしたこともあったりしたことである。
ただ、何度か己丞自身が助けに入ったこともあったのだ。
「だから今回のは悪かったって、わかったよ、今度からは別の方法で連れて行くから。」
たがこの時朱希は少し嫌な予感がした。
「待って、別の方法ってなに…?」明らかに“連れていく”という言葉に違和感を感じた。
「あー、例えば、こうやって…」と近づきながら。
朱希は「え…」となんとも言えない表情で、と次の瞬間…‼
朱希の背中に手を当て、ちょっとしゃがむそして、足を抱え込む様にして立ち上がった。
「よい…しょっと!どう?これならいいかな?」と己丞が聞いてきた。
朱希はこの状況に、「え……、えぇぇ~~~~!!!!」朱希はこの状況は明らかにあの“お姫様抱っこ”をされていると理解した。
ただ突然のことであまり言葉が出てこない
「ちょ、ちょ、ちょちょっと!!あ、あんたなにしてんの!~~~!?」朱希は相当、テンパっているのに対し己丞の方は…
「え?だからこんな感じの見せつければあんなことしてくるような輩もいなくなるでしょ、それに自分的にもこの方が色々と都合が良いし。」といつものように平然と会話を続ける。
「って‼バカなの!?こんなことしたら余計に増えるわ!!早く下ろしなさい!!」
「え〜もうちょっとこのままでもさ〜、自分少女漫画とかも好きだからさ〜こういうシュチュエーションまあまあ憧れるんだよね〜」明らかにこの二人のテンションは対照的であった。
そして己丞が続けた「あ〜、やっぱりダメ…かな?」
「ダメに決まってるでしょ!早く下ろして!」そう言われると己丞は素直に下ろした。
「もう!なんであんた前から急にすごい行動取るようになるの!?しかも決まって、他に誰もいない所で私に‼」興奮しながら聞いてみた。
「う〜ん…朱希だから…かな?なんでかなんて考えたこともなかった」とまたも笑顔で
「あぁ…もうあんたに聞いた私がバカだった…」もうこれ以上何を言っても無駄だと朱希の脳は言っていた。
と、ここでやっと本題へと戻る。
「で?具体的に何をするつもりなの?」一体どんな方法でやるのか正直気になった。
「えーと、ね…」耳元でゴニョゴニョゴニョ…と伝えた。
「その方法本当に上手くいくの?」
「うん!何とかしてみせるから。朱希は自分のサポート的な感じでよろしく!」
「はいはい…」
そんな感じで色々あった打ち合わせは終わった。
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