最終話『変わりゆく世界と変わらぬ日常』
「長きにわたり続いてきた人族と
魔族の争いの歴史は終わりを告げます。
これからは人族と魔族の双方が
同じ世界に住む隣人として対話し
歩み寄りよりよい社会を築く
新たな時代が幕を開けます」
これは、皇帝フレイヤの
人魔戦争終結に関する演説の
冒頭の言葉である。
ここは人族の王都の中央広場。
魔族の代表として魔王ユミル
人族の代表として皇帝フレイヤが
以下の条約に調印する。
******************
第一条:人族と魔族との間に生じた
問題を暴力によって解決
することを原則として
永久に行わない。
第二条:双方の間に生じた諸問題は
対話による問題解決の
努力を行うこと。双方で
解決できない問題は法学の
専門家である第三者を交え
た上で進めること。
第三条:双方合意があれば婚姻関係を
結んでも良い。ただし双方の
間で産まれた子の種族について
は双方協議の上で出産前に決定し
ギルドに提出すること。
******************
もちろん"永久"などは存在しないし、
この条文の通りに物事が進むという
こともないであろう。
いままでの争いのなかでどちらの
領土か決められていない領地も
存在し問題は山積みではある。
この魔王と皇帝の名で
共同署名された宣誓書の
内容が破られることもあるだろう。
この条約が守られるかどうか
それは最終的には些細なこと
なのかもしれない。
重要なのは数え切れない年月
争い続けた人族と魔族
が互いに対話によって歩み
寄ろうという姿勢を持てた
ということである。
同じ人族の間ですら争い合う
ましてや種族の異なる魔族、
完全に分かるまではまだ
時を有することになるであろう。
長い歳月のなかでお互いが再び
剣を持ち争いあうような
ことがあるかもしれない。
その時には今日の日に
立ち返ればいいのだ。
◇ ◇ ◇
第三条『人族と魔族との婚姻可』
の実益をフライングゲット
したのはフレイヤとウルズである。
皇帝フレイヤと四天王忠節の
黒騎士ウルズは種族の差も
身分の差も超えて結ばれた。
フレイヤの
『国民から支持を失うのでは?』
という心配はよそに王都の民は
歓迎ムードであった。
歓迎というよりは、
正直なところ刺激に飢えていた
王都の民としては身分差を
超えての結婚というイベントが
まるでお伽噺の世界の話のようで
おもしろかったというのが
大きかったようだ。
この世界では王女と庭師が
結ばれるような身分差結婚
者の物語が人気ということも
支持された背景にありそうだ。
皇帝と四天王が結ばれるという
このセンセーショナルな
出来事は吟遊詩人が歌を作ったり
二次創作的な物語が作られたりもした。
この結婚自体は魔族と人族との
仲を深めるという戦略的な
意図のあるものではなく
単にフレイヤとウルズの性的な
相性がよかったからに他ならない。
意外と軽視されがちな要素では
あるが性格の一致と性の一致は
同じくらい大事だという説もある。
人それぞれなにを重視するのか
というのは違うのだ。
少なくともこの二人にとっては
大事なことだったようだ。
ウルズはフレイヤに告白する前に、
さすがに罪悪感の強さから
数々のストーキング行為を白状し
フレイヤに謝罪をした。
だがフレイヤにとってはむしろ
このウルズの倒錯した異常性癖
は好感度をあげる要素だったようだ。
フレイヤはストーキングをされる
ことに興奮する性癖の持ち主
だったのだ。
特に裸体や寝顔などを舐め
られるようなねっとりとした
絡みつくような視線で見つめられる
のを好む、完全なるヘンタイであった。
世の中は広く。理解不能である。
ストーカー行為に性的興奮を覚える
ウルズと、ストーキングされる
ことに性的興奮を覚えるフレイヤ、
双方の異常性癖が割れ鍋にとじ蓋的に
奇跡的にぴったりとあったのである。
もちろん、この身分差と種族差を
超えた結婚は表向きは脚色され
勝手に美女と野獣的な
解釈をされているが事実は違う。
両方とも野獣だったということだ。
フレイヤに恋した身分違いのウルズが
その身を賭して守りきったことから
フレイヤの恋を射止めた的な美談に
なっている。
他にも色んなパターンがあるのだが
基本的にはなんだかよく分からないけど
「イイハナシダナァ」的なエピソードに
変換されているという共通点はある。
もちろん……そういったウルズの活躍が
フレイヤの乙女心をくすぐった側面が
無いわけではないのだが……
結婚を決意させるには少し弱い。
刺激的な恋は一瞬のキラメキである。
一方、結婚は日常であり生活である。
そのあたりを見極める冷静さが
フレイヤにはあったということである。
事実は時に、小説より平凡である。
単純に二人がヘンタイだったから
納まる所に納まっただけの話であった。
めでたしめでたし。
もちろんこの事実を知っているのは
ウルズとフレイヤの二人だけである。
正式に同居生活をはじめてからも
二人で"おたのしみ"をしているとの
ことである。性癖は世界を救う。
◇ ◇ ◇
人族と魔族がこのような象徴的な
日を迎えることができた
のはサトシの貢献が大きい。
サトシは自分の息子と娘が
瘴気をマナに変換する世界樹と
しての生き方に縛られないようにと
大地の瘴気をマナに変換する方法
を生み出した。
この世界樹でしか実現し得なかった
機能を"土属性"で再現し、更に
この"土属性"のスキルをセフィの
"
魔術式として再構築。
"土属性"というスキルを誰にでも
使用可能な"魔法"として普及
させることによって瘴気の
問題を解決した。
また、低濃度の瘴気を好む
魔族向けにマナから瘴気に
還元する"魔法"も生成、
この魔法の普及によって
魔族の間で"瘴気サウナ"が
流行るようになった。
あくまでもサトシが
息子と娘の夢のためにと
始めた"土属性"であったが
結果的にはこの世界の根本的な
問題を解決することに繋がった。
この世界を大きく世界地図の
中にはまだ記されていない
土地も多い。その原因が
魔族すら近づけないほどの
瘴気濃度の地帯だったのだが
その前人未到の禁足地の
開拓もこの"魔法"によって
徐々に解明されるのであろう。
◇ ◇ ◇
瘴気の中和が可能になった
ことで変わったことは他にもある。
冒険者に憧れる者たちが
劇的に増えたことだ。
まるで15世紀の大航海時代
を彷彿させるものであった。
前人未到の未開の土地を開拓し、
地図に新たに自分の
足跡を刻む憧れの職業。
その未知の土地の探索を行う
先発隊として選ばれた冒険者が
サトシの息子ユドラである。
"
未開の土地でも十分に戦えるだけの
強靭な戦闘能力を持ち更に世界樹
としての自動で瘴気中和能力を
備えるため、瘴気の強い未開の地
の開拓に適しているということが
選ばれた主な理由では有る。
だがそれよりもやはり彼の未開の地を
開拓したいという熱意が心を打った
という面が大きいだろう。
この世界は広いまだまだ
冒険は続くのである。
◇ ◇ ◇
さて、そもそもの話、
皇位継承権をめぐる争いは
何から何まですべて茶番であった。
皇帝の急死は毒殺によるものであった。
実行者は第二皇女ゴミ
……ではなくミーゴ。
皇帝が生前に次期皇帝候補に
遺言で第一皇女を指定したのを
事前に知るや否や、ノータイムで
第二皇女のミーゴがブチ切れ
実父を殺害したのだ。
そもそも遺言の件は皇帝が
意図的にリークさせたものであり、
その目的は皇位継承権第二位の
第二皇女ミーゴの皇帝としての
器を図るものだったのであるが……。
もはや死人に口なしである。
前皇帝は"リア王"的なノリで
やったつもりだった行為
だったのだが、完全に裏目に
出て結果、即座に娘に
殺されることになってしまった。
自分の娘の頭のおかしさを
過小評価していたあたりは
なんだかんだで親バカ補正が
働いていたのかもしれない。
異世界から転生者を召還しての
人魔戦争の真っ最中にすら
自分の目先の利益しか考え
られないアホの起こした
行動であった。
◇ ◇ ◇
この一連の騒動を引き起き押した
張本人である第二皇女ミーゴ、
第三皇女クゥズ、第四皇女カッスは
当然のことであるが皇位を剥奪され、
一般人となった。
本来であれば処刑されるところ
であるが、処刑されることで
後世に『悲劇の皇女』として
事実を曲解された上で美化される
可能性を考慮し無様な醜態を
市井に晒させながら生きながらえ
させることとしたのである。
もちろんウルズが鍛えた
超有能な暗殺者の超厳重な
監視を付けた上でのこと
ではあるが。
彼女たちが働くのは、
王都ギルドである。
後世に"悲劇の皇女"として
語られそうな"奴隷"や"娼館"
などではなく普通に
王都ギルドである。
ただ、働く部屋は3人の
皇女達専用に作られた部屋だ。
日本でいうところの、
『追い出し部屋』である。
社員を自主退職に追い込む
ためにあえて簡単でやりがい
のない仕事を延々とさせて
自尊心を最大限まで傷つかせて
自主退職に追い込む、
あの部屋である。
だが、自尊心もクソも
そもそもやる気がないので
簡単すぎる仕事にも文句を
つけるわで、ギルドで
やむなく元皇女に関わらなきゃ
いけないギルド職員は"飼育員"と
呼ばれ、追い出し部屋は
いつの間にか"動物園"と
影で言われるようになった。
仕事時間も普通の労働者より短い。
10時に出社して16時に退社。
ギルドの中に皇女達専用の
窓際部屋を作り他の職員よりも
あえて勤務時間を2時間短くした上で
給料を2倍支払うという一見破格の
待遇を提供しているのは、
人々から、彼女たちの"偶像性"を奪い
"ヘイト"をためさせるためのものだ。
仮に皇女たちに明らかな冷遇をした場合、
勝手に彼女たちを可愛そうなどと
思い違いをするものが出る。
そして『悲劇の皇女』として
担ぎ出す者が現れる可能性があり、
そ可能性を未然に防ぐための策だ。
窓際部屋のなかでは、
書類にハンコを押すだけの業務、
書類を細断するだけの業務、
などの業務が課されているが、
これらの簡単な仕事に対してすら
あーだこーどと文句ばかりを言う
元皇女たちの所業はギルドの
噂好きのおばちゃん経由で
ドンドン外に広まっていき、
王都の中で『実は冤罪だった説』
を唱えるものは誰もいなくなった。
また、明らかに労働時間が短く
役職についていないのに
ギルドの上級職員なみの
給料をもらっていることが
リークされたことによって
更に市民の彼女たちのヘイトは
溜まっているのであるが、
当の本人たちはどこ吹く顔で
毎日机の上で鏡で自分の顔を
眺めたり鼻をほじったり
しながら"ヘイト”をためている
ことも知らずに元気にくらして
いるのであった。
なお、彼女はあくまでも
ガス抜きのヘイト吸引装置
として機能させるために
厳重に守られており、
義憤にかられ殺害しようと
した者も多くいたが全て
未然に防がれている。
もちろん、殺害を企てた
ものは簡単な手続きのあと
無罪釈放である。
コー○ギアスの超天才ル○ーシュ
ですら命がけだった人々の憎しみを
一手に集めるという偉業をただ
生きているだけで無意識に実現する
あたりはもはや"憎まれる才能"という
ものを持っているのかもしれない。
◇ ◇ ◇
さて、皇女以外にこの第一皇女殺害
計画に関わったものたちのその後に
ついても軽く触れよう。
まず、当然のことではあるが、
殺害計画に積極的に関わった者たちには
法律に則っり相応の処分がくだされた。
誘拐や人体改造などによって
強制的に加担されたものの
その後ではこのようなものである。
性奴隷は村娘をさらっていた
だけだったので基本的には
もとの村に帰っていった。
野盗に偽装して誘拐していたのは
王都から辺境に向かうまでの
村でさらった女性たちだったので
その後は村に戻った。
村に戻ることができなくなった
者に対しては王都で仕事を
斡旋するなどの被害女性の
ケアを行っている。
世界樹パワーで切除された前頭葉が
復活した狂戦士たちのその後であるが、
そのなかの一人が書いた著書
"俺氏、狂戦士だったけど何か質問ある?"
は記録的なスマッシュヒットとなった。
元狂戦士によってコミカルな
文体で書かれた自叙伝。
作者が実際の元狂戦士という
こともありそのギャップが
読者の関心をひくことになった。
この書籍が広まることによって
皇女たちの非人道的な活動が
国内外に拡散することになった。
他の狂戦士も改造された
肉体パワーで土木業の世界で
引く手あまたの人気人材となった。
そのヒットにあやかる形で
後追いする形で書かれた
『炸裂兵は辺境で無双する』
は、炸裂兵としての見せ場である
自爆シーンも無双シーンもなく
タイトル詐欺だということで
増刷されずに消えていった。
これは作者が悪い。
このようにして皇位継承権を
めぐる一連の悪行は多くの生存者
が口から口に伝えることに
よって世界中に広まった。
皮肉なことにそれに一番貢献したのは
皇女達が第一皇女フレイヤを殺害後に
提灯記事を書かせるために従軍させた
従軍記者達の力であった。
非人道的な改造手術、村娘拉致、
薬物洗脳といった数々の悪行は
白日のもとに晒されることになった。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
サトシはこの人魔戦争の終結の
式典には参加していない。
もちろん式典出席の招待状は
フレイヤから直にもらって
いたのだが断ったのだ。
理由は二つある。
まず、
襲撃によって傷ついた村の
復興と敵対勢力に対する
村の防衛機能の増強を指揮
する必要があったからだ。
次に、
この村の存在を表舞台に
出さないようにするためだ。
この村の存在は戦いの後も
秘匿され皇女たちが戦ったのは
フレイヤの率いる軍と
魔王の混成部隊によるもの
であるということになっている。
つまり、そこにはサトシや
ユドラや、セフィの名前は
記されていない。
これは平穏に家族と村人
だけで暮らしたいと願う
ミミとサトシの要望であり
村の住民が静かに村での
生活をおくれるように
するための配慮である。
(とは言え、人の口に戸は立てられない。
いつか誰かがこの村のことを
漏らす者がでるかもしれないな。
まっ、その時に考えれば良いことだが)
まず村の周りの平原の外にある
森林地帯はサトシの地形操作の
能力によって"迷いの森"仕様と
なっている。
サトシが作った地図が無いと
村には決して辿りつくことが
できないほどに非常に難解な
迷宮になっている。
それだけではない。
遠距離戦と上空からの攻撃に弱い
ゴーレムの特性を補うために
ゴーレムに『スリングショット』
をもたせ長距離攻撃が可能な
ように超強化を施している。
なお、この『スリングショット』
一発の威力は攻城兵器の『投石機』
と同じだけの破壊力を持つ。
原始的な武器であるがゆえに
使い勝手がよくそこらに落ちている
岩を投げつけるだけなので
弾切れもない。
また、村を守る城壁の上には無数の
ドワーフが作ったバリスタが設置され
上空から攻めてきたドラゴンなどに
対しても撃退可能。
なお、このバリスタを
操るのもゴーレムたちである。
ゴーレム、マジ、ゴーレムさん。
また、いざとなったら時に
外敵からの攻撃を防ぐことが
可能な地下シェルターも作った。
地球でいうところの核シェルター
のような地下シェルターである。
水爆10発くらい撃たれても
大丈夫な超堅牢設定。
ユミル協力のもとで魔王の
最強魔法による耐久試験も
クリア済みである。
これは相対する敵と戦うより
背中に守る者がいる環境で
戦うことの困難さを痛いほど
思い知らされたからである。
一般住民はいざという時に
そこに避難できるようにした。
魔王の最大出力の魔法でも
破壊できないほどの堅牢な
地下シェルターである。
ミミやユミルと話し合った
結果としてこの村は拡大
はせずに現在暮らしている
住民が幸せに快適に暮らせる
場所にしようという結論に至った。
むやみに移住者を増やして
村の規模を大きくしてもシガラミや
イサカイが増えるだけである。
とはいえ、
移住してきた村民が子を作って
自然に村民が増える分については
もちろん歓迎である。
天災や戦争によって家を失った
者や、不当に徴税をおこなう
領主に苦しめられ命からがらに
逃げ出してきた者たちを
受け入れる方針は変わらない。
("ライ麦畑のつかまえ役"
のような崖から落ちる前の
最後のセーフティーネット。
なんらかの理由で心や体が
傷ついた人たち、行き場の
なくなった人たちの受け皿。
この世界にもそんな場所が
一つくらいあったっていいはずだ)
サトシとミミの目指す
目標は慎ましいものである。
"よく食べ、よく寝て、よく働く"
そう。上へ上へと高みを目指す
のではなく、大地にしっかりと
根を生やししっかりと"生きる"。
言うは易く行うは難し、
簡単なようでいて難しい。
だからこそ、サトシとミミは
それを実現するために頑張るのだ。
この村に暮らす人たちが
幸せに生きがいをもって生活を
送ってほしい、と。それこそが
サトシとミミの夢である。
せめて自分の手の届く範囲の
隣人だけでもごく普通に
いきいきと幸せに暮らせる
そんな居場所、そんな村に
したいとサトシは願う。
その夢を叶えるためにもサトシは
ひたいに汗を流しながらこの
辺境の地の開拓を続けるのだった。
◇ ◇ ◇
人魔戦争の争終結後に、
勇者パーティーのリーダー
であるユータからトレードボックス
経由で手紙が送られてきた。
その内容はこのようなものである。
人魔戦争の終結にともない
魔王討伐という共通目標が
失われたこともあり、
勇者パーティーは解散された。
賢者のケンジは王都で
生前の憧れであった起業に挑戦。
とはいえ転生前はただの学生だったので
特に現代チートを活かせる機会もなく
他の商人と同じようにゼロからの
スタートであり苦労しているそうだ。
まだまだ結果はでていないが彼の
営業トークと謎の身振り手振りは
独特でその点は王都の商人たちの間で、
ちょっとした話題となっている。
彼が商談中に行う、謎のロクロを
まわすような仕草と謎の"ケンジ語"
を面白がってマネるのが商人連中の
なかでのちょっとした流行りになっている。
それほど優秀ではないしクセが強いが
仕事は真面目に頑張るらしく少しづつ
信頼を積み重ねているところだ。
婚約を結んでいたギルド受付嬢の
コノハとは正式に結婚した。
ケンジも惚れた女性には弱いらしく
家庭内ではコノハの尻に敷かれて
いるとのことである。
結婚式の時はコノハの強い
希望もあって指輪交換は通常の指輪
ではなくサトシが送った
バングルの交換になったそうだ。
彼女は死別した父の面影をサトシに
求めていたのかもしれない。
治癒術士のチユウは、
歌って踊れる踊り子として
いろんな酒場で冒険者に
活力を与えているようだ。
衣装は日曜朝の変身少女番組的な
フリフリのドレスである。
この衣装は既製品ではなく
チユウが頑張って作ったそうだ。
また酒場で歌って踊ったあとは、
治癒術士としての能力を活かして
傷ついた冒険者を癒やしながら
荒稼ぎをしているとのことだ。
本末転倒な話であるが、
冒険者の中にはチユウに治癒
してもらうためにあえて
魔獣から怪我を負うものがいる
くらい隠れた人気者になっている。
瘴気に覆われた未開の地の
開拓という新たな目的ができた
ことで冒険者の人気は高い。
そんな世界において高位治癒術士の
チユウの需要は今後より高くなる。
彼女がこの先お金に困ることは
一生ないだろう。
槌使いのツチヤは
この世界でボディービルダーを
やっているようだ。
とはいってもこの世界には
ボディービルダーという
職業はないのでただ鍛えた
裸体を公衆の面前で見せつけ
ているだけである。
当然の結果として何度か
王都の衛兵に捕まっている。
もともと戦闘時でもポージングを
キメているだけの存在だったが
いよいよもって何を考えている
のか分からない軽度犯罪者となった。
彼が一体何をやりたいのか?
それは神のみぞ知る。
勇者であり聖魔剣士のユータは、
パーティーが解散されたあとも
この世界の残された謎を解明する
ために冒険の旅を続けている。
ゴーレムを二体引き連れた
通りすがりの冒険者に魔獣や野盗から
襲われたところを救われたという
ような報告がギルドにもあがっている。
ユータはこの世界の冒険を
続けながら通りすがりの
人助けなどをしているようだ。
彼をこの世界に勇者として
召還した神の目に間違いは
なかったようである。
◇ ◇ ◇
サトシがあぐらをかきながら
手紙を読んでいると、
その膝の上にミミが
ぼふっと座り込む。
「ひさびさの手紙じゃの。
ユータさんからかの?」
「うん。みんな元気に
やっているみたいだ」
「それは結構なことじゃの。
妾たちも負けないくらいに
幸せになるのじゃ~!」
「はは。そうだな」
サトシはミミの
頭を優しく撫でる。
「おっし。ミミに癒された
ことだしそれじゃいっちょ
畑仕事いってくるか!」
「いってらっしゃいのじゃ~」
おしまい
=================
【辺境村の開拓状況】
◆住民
土属性:1名
世界樹:1名
ユドラ:1名
セフィ:1名
ドワーフ:63名
魔王:1名
魔王の妻:1名
雪女:52名
四天王:2(2名)
ゴーレム:たくさん
◇特産品
ケチャップ
あいすくりいむ
ワイン(ドワーフ族作)
ココア
チョコレート
ビール
龴彐礻一フ、゛ ←New!
★ペット
☆財政状況
大金貨:33000万枚
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