解説
主人公の少年はまだ4歳。そして紹介文の『プラダーウィリー症候群(PWS)』という天性疾患の持ち主です。
【第1話】
少年は、姉とふたり姉弟です。お姉ちゃんが大好きな少年です。
【第2話】
満腹感が得られない少年は、どれだけ食べても食べ足りないのです。
【第3話】
少年のお姉ちゃんの卒園式。一度しかないことを、「次」があると信じています。
【第4話】
「お友達ができるところ」というのは、特別支援施設です。春から少年は施設に通うことになっていました。
大好きなお姉ちゃんは保育園に通っていたので、少年と遊ぶ時間が限られていました。しかしお姉ちゃんが保育園を卒園したことにより、少年は初めてお姉ちゃんと一日中一緒にいることができたのです。
【第5話】
少年にとって、公園で遊んだことよりも、大好きなお姉ちゃんと強く手を握りながら歩いて帰ったことのほうが嬉しかったのかもしれません。そしてそのふたりの後ろ姿を、母親はきっと微笑ましく見ていたことでしょう。
【第6話】
4月1日から小学校の入学式まで、お姉ちゃんは園児でも児童でもない、どこにも属さないことになります。
【第7話】
「手に何か書いてある」というのは、“手鏡”のことを指します。手鏡とは、お迎え現象のひとつと言われています。人によって手に見えるものは様々で、下記はその例です。
①文字通り、鏡のように見える
②手のひらの線が濃い、もしくは薄く見える
③何か文字や絵が見える
少年は上記の③だったと思われます。
【第8話】
少年が何時から意識がなかったのか、誰もわかりませんでした。少年の言う「よだれ」というのは泡です。少年は泡を吹いていたのです。
母親は119番に電話をし、応急処置方法を必死で聞いていました。お姉ちゃんはまだ小さい子供。何もできませんでした。
【第9話】
医師の努力も虚しく、少年は4月8日に亡くなりました。
【第10話】
大好きなお姉ちゃんと、一日中一緒にいることのできた春休み。お姉ちゃんがどこにも属さなかった8日間。少年とお姉ちゃんにとって、最初で最後の春休みでした。
少年は、お姉ちゃんが大好きなのです。
最期の春休み 凪 景子 @keiko012504
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