第4話 準備
ドローンを森の中へと下降させると、周囲を確認するため360度回転させる。全部が森だ。ここにあったはずの道路や店舗やビルや民家はない。何処へ行ったのか。それとも俺とこの街が何処かに来たのか。
擦過音とともに森が動いた。
この送信機は音も聞こえるようだ。
動いた場所にドローンの向きを固定する。
暫く見続ける。人がいるかも知れない。
聞こえはしないがドンという擬態音が聞こえるような程唐突に熊が飛び出してきた。
確かに熊だ。真っ赤な熊だ。ドローンに向かって突進してくる。
このままではドローンが壊される。卒爾に襲い来る焦燥で手が動かない。焦る。帰還ボタンを押した。ドローンは俺の方に向かい上昇してくる。
何とか、熊の攻撃は回避できたが、これではこの高台となった街から移動できない。やはり、銃だ。しかし、銃があると思える自衛隊はない。精々警察署にあるニューナンブかスミス・アンド・ウエッソンだろう。連発できない。しかも、たったの5発。これでは熊には上手く当てない限り役に立たないかも知れない。当たっても死なないだろう。だったら、銃砲店にあるだろうショットガンとかのほうがマシだろう。マシとは言え、鳥撃ち用の小さい粒の散弾なら目にでも入らない限り追い払うのは無理だろうし、殺すことは不可能じゃないのかと思えてしまう。ここが横須賀だったら米軍基地にM4A1とかのアサルトライフルがおいてあるのだろうけど。
しかし、無いよりマシだ。まさか熊がこの高台に登ってくることはないだろうが道があれば登ってくる可能性はある。その有事の為にも銃を早急に探さすべきだ。
まずネットで自衛隊の基地を駄目元で探してみる。無いのは知っているがもしかしたら知らない施設があるかも知れない。
結果。そんな施設はなかった。
警察署は知っているから後で良い。何かあれば警察署に立てこもれば大丈夫かと思える。
しかし、平和な日本の警察署は普通のビルと何ら変わるところはないと思える。まさか、榴弾や劣化ウラン弾に耐える構造の警察署は造ってないだろう。
次に、銃砲店を検索してみる。いくつかの銃砲店が見つかった。
一番近い所から行く。
ここに来るまで誰も見ないし車の音に気づけば出てくるだろうからこの街には他に誰もいないのだろう。
銃砲店に到着した。
鍵は開いていた。中へ入るとガラスケースの中に沢山の銃が並べて立て掛けてある。当然鍵が掛けてあって開かない。近くにあったレジを適当に計算しお金の入った引き出しを引き出す。中を探すと小銭の中に直ぐに鍵が見つかった。隠し場所が安直だ。しかし弾がない。奥の部屋を探すと大きめの金庫があった。多分この中だろう。鍵がかかってる。番号がわからなければ壊すことも出来ず、開けられない。回転ダイヤル式の金庫だ。レバーを下げながら回すと手応えがあるとテレビでやっていた。回してみたが手応えはあるもののだからといってどうすれば良いのかが分からない。
諦めて、手がかりを探すことにした。
レジの周りの引き出しの中を探してみるが見つからない。もう一度レジの中を探すことにした。先程引き出したままにしてある現金の入った引き出しの中の小銭入れのケースを持ち上げ下を見るがない。札を分けて乗せるケースを持ち上げる。すると底に鍵と暗証番号が書かれた紙がひとまとめにしておいてあった。
やった。遂に見つけた。これで金庫も開けることが出来る。
金庫を開けてみると中に散弾が種類別に置いてある。何と散弾だけでなくライフルの弾もある。だからケースの中にライフルを探した。ライフルが有った!散弾銃だけでなくライフルもあった。
調べてみると日本では10年以上散弾銃を所持した実績があって始めてライフルを取得することが出来るらしい。
ライフルと散弾銃全て回収した。他に人がいたとして、その人が危険な人間であった場合に備えてだ。スコープも回収した。
次の店舗へと急ぐ。警察署の銃は簡単には手に入れられないだろうから明日だ。金庫も簡単には開かないだろう。不可能かも知れない。まぁ、他の人間がいた場合に、そいつにも開けられないのであれば何も問題はない。放置でもよいのだろう。
結局夕方までに全ての銃砲店を回った。フォードのピックアップトラックの荷台は銃で埋まっている。
ここで警察に職質されれば逮捕は確実だ。しかし、これだけ揃えても只の銃刀法違反だろう。しかし、警察もいないし、国さえ失くなっている。いや、この市が国から失くされたというべきか。だから、犯罪など無い。犯罪は構成要件に該当する違法有責な行為であって、既に成文の構成要件がないのであるから、犯罪とはならないからだ。
安心して拠点の豪邸へ向かう。
何の障害もなく豪邸に到着する。
銃を豪邸の何処に運び込むか考えた。そう言えば巨大な金庫をホームセンターで見た。この家の金庫にも入れたいが、まだ暗証番号がわからない。取り敢えずガレージに置けないかガレージのシャッターを開けてみると鍵が掛かっている。しかし邸宅と繋がっているので家の中からなら入れるのではと家の中に入り探すとガレージにつながるドアには鍵はかかっていなかった。ドアを開け直ぐ横にあったスイッチを押しライトを付ける。中にあったのはフェラーリとウニモグだった。なぜウニモグが?ウニモグの運転席の中を見ると前進8段後進6段だ。流石に凄い多目的作業用のトラックだ。これなら、下に降ろせれば森の中でも車が使えるかも知れない。荷台も付いていて色々乗せることが出来る。
駐車場は後二台は停めれるくらい広い。前面のシャッターのスイッチは光っているので直ぐにわかった。ボタンを押せば開くやつだ。つまり、電気が終われば開けられないということだ。電気が無くなる前に開けておくべきかも知れないが、そもそも、電気が通じていることが不思議だ。この件はペンディングにする。
銃火器を満載したフォードのピックアップトラックは取り敢えず車ごと車庫に入れた。
既に夜の8時を回っている。コンビニ弁当を夕食に食べる。
よし、明日はホームセンターに金庫を取りに行く。そして自給自足のために野菜や果物の苗も取ってくるべきだ。この豪邸の隣に広い庭の屋敷があるのでそっちの庭に野菜や果物の木を植えよう。
リビングで寛ぎテレビをつけるとHDDレコーダーと繋がっていてテレビ番組が取りだめされていたのでコーラを飲みながら見る。未だ高校生だ。酒を飲む習慣がない。ガラスケースに入った様々なブランデーやウイスキーはその内飲めるようになるだろう。ワインが全く無いところを見ると地下か何処かにワインクーラーが設置されているのではないだろうか。未だ興味がないので放っておく。
ゲーム機がありソフトも沢山あるようだ。暇つぶしにはなる。しかし、一人だと寂しい。
翌日、ウニモグに乗りホームセンターへ。ショットガンに弾を込めて持参するのを忘れない。何が起こるかわからない。
ホームセンターに到着し金庫を探すと直ぐに縦型のでかい金庫を発見。しかし説明を見ると重さが約300キロ。重すぎる。
ホームセンターにもホークリフトがあったのでこれで動かせる。しかし降ろせない。これでは豪邸にもホークリフトが必要だ。そう考えると、ホークリフトを一台持って帰った方が良い。
だとすれば、自動車を運搬する荷台の後部にリフトが付属していて車を持ち上げて荷台に積み込むトラックがあれば使える。あれは高級車の販売店ならあるんじゃないのかと予想を立てた。
取り敢えず、金庫を2台ウニモグの荷台に積み込む。
その後は野菜や、果物の苗木など色々積み込む。ポテチもコーラも忘れない。
そうだ。畑を耕す機械。名前は分からない。探すと発見。さすがホームセンター。ガソリンの缶も積み込む。20L缶を三つ。帰りにガソリンスタンドに寄ってガソリン入れて帰ろう。
積み込みが終了し車に乗り込むと直ぐに高級車の販売店を検索。直ぐ近くに発見。行くと、荷台の後部にリフトが付いているトラックが置いてあった。
これは明日だな。明日、自転車で取りに来よう。
自宅へ帰り野菜と果物の木の苗を降ろし水を掛ける。明日フォークリフトを持ってきた後で植えよう。
途中寄ったコンビニで持ってきた弁当を食べ寛ぐ。
暇でユーツーブを見る。
ふと画像が変わり人が映る。
またコマーシャルだと思っていると出演者がいつものように何かを言い始める。
いつものCM、良く見る画像、だけど聞いたことのない話をし始めるコマーシャル。
『君は、選ばれた。この世界には君のように都市ごとこの世界に連れてこられた者が沢山いる。戦って生き残って欲しい。武器はその都市に存在するモノ全てを使うことが出来る。奪った武器も使える。銃があれば使っても良い。兎に角生き残ることだ。生き残れば巨万の富を得ることが出来るぞ。では頑張れ。』
なんだ、これ?CM?
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