第2話



「いいです、いいです!先輩も明日テストですよね?先輩に迷惑かけられないです!」


「教えるのも勉強になるから」



丁寧にお断りしたのに、先輩は私の隣に座ってしまった。



先輩って優しいんだなー。


外見にとどまらず中身までかっこいい。


…って、今はそれどころじゃなかった!


勉強、勉強!


私は気を引き締めるために、自分のほっぺたを叩く。



「で、どこが分からないの?」


「ここなんですけど…」



私はそう言って教科書を見せようとすると、先輩は身を乗り出して、机に肘をついた。



…あのですね。


教えて頂けるのはとてもありがたいのですが…。


ちょっと距離が近すぎるような気が…。



由城先輩の腕が私の腕に当たって、ちょっと緊張する。



「あ~、ここはね」



先輩が喋り出したのと同時に、窓から風が入ってきて。


すごくいい香りが漂ってきた。


先輩、超いい匂い。


柔軟剤かな?


シャンプーの匂いかな?



「で、こうなるの。って、ななちゃん聞いてる?」



…え?


先輩の香りに気を取られていて、全然聞いてなかったー!



「こ、こうですよね?」


「全然違うよ」


「はて」



先輩のいい香りに癒されてる場合じゃなかった!


せっかく教えてくれてるんだから集中しなきゃ!



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