ヤンデレ妹に付き合うのは大変です!

新名天生

第1話 妹の欲しい物は家族愛?


 妹の愛が重い……そんな気がする。


 愛といっても当然家族愛だ……兄妹で恋愛感情なんて沸くわけがない。


 妹は何かにつけて僕に「愛してる?」って聞いてくる。


 そんな時は兄としてニッコリ笑って妹の頭を撫でるのだ。


 しかし何故? 妹はこうまで僕に愛の確認をしてくるのか以前考えてみた。


 黒髪ロング、つぶらな瞳、高からず低からず形の整った鼻、少し厚みのある愛らしい唇、兄の僕から見ても美しいと思える顔立ち……モデルの様な容姿、妹は間違いなくモテるだろう……名前は舞……丹生屋 舞にのうや まい今年僕と同じ高校に入学した1年生、ついでに僕の名前はいつき現在妹と同じ学校に通う高校2年生だ。


 そんな容姿と美貌を兼ね備えた妹なので、人から愛されるという事に関して、僕と違い物足りないなんて事はないだろうと推測する……ううう。


 ただ……一つだけ舞には恐らく欠乏している愛……そんな愛があると僕は思った。


 それは……家族愛だ。


 僕達の家庭環境は少し変わっている。両親が居ないのだ。


 居ないと言ってもこの世に居ないわけではない……ほぼ家には帰って来ないと言う意味での居ないだ。


 両親は僕らが生まれた直後に離婚、僕らは母に引き取られ育てられた。

 しかし母は特殊な仕事の為に家に帰って来る事は滅多にない。

 当然父親はこの家に来る事も無い。


 僕らは毎日来る家政婦に育てられたと言っても過言ではなかった。


 つまり妹は家族愛に飢えている……僕はそう推測した。


 その為毎日の様に僕に愛の確認をしてくるんだと思う。



 ただいつもは笑って頭を撫でたり軽くポンポンしたりするんだけど、やはり僕も人間、イライラしている時や忙しい時はある。そんな時は妹からの愛の……家族愛の確認をおざなりにしてしまう時がある。


 そういう時は気を付けなくてはいけない……家では何故か不思議な現象が起きるのだ……。


 不思議な現象は、小さい頃からあった。



 「えええ? 包丁がない……」

 家にあった数本の包丁が全て無くなっていると夕飯を作ろうとした家政婦さんが言った。僕も協力して家中を探すと、妹の部屋の床にキチンと並んでいたり……。

「針が無い?」

 縫い物をしようと家政婦さんが裁縫箱を開けると針が一本もなかったりした。

 

 ちなみにその針は妹の部屋に置いてあった男の子の人形に全部刺さっていた。


 他にもまだまだあるが、そんな不思議な現象が必ず起きるのだ。


 ちなみに妹に聞いても知らないと言う……そうつまりこれは怪奇現象だ。


 次々と起こる怪奇現象に家政婦さんは辞めてしまう……なので最近は僕と妹で家事をするようになった。


 今僕と妹は正真正銘の二人きりなのだ。



 そして……最近この怪奇現象の原因が判明した……。


 原因はやはり妹だった。僕は見てしまったのだ……妹が夜に中工具箱から金ヅチやノコギリを取り出し自分の部屋に持って行く所を……。


 そして……それは、そんな行為はどんどんエスカレートしていった……。




 

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