第3話 まぼろしのように

"まぼろしのように"

粘性の夢はつやつやとして

汗の匂いがする、果実の匂いがする

いつか異国から届いた葉書の匂い

紙の海を泳ぐとき紙の月が空にある

異邦の歌声は艶やかに過ぎて

あなたを思いだす、粘性の夢を泳ぐ

それは黒髪の海、白い月は面影

寝返れば願うほどにからみつく


窓を開け放つ、湿った風が汗と混じり

冷たく不快な十二月の空に


冬の虹、つやつやと冬の虹

紙ヒコーキが横切っていく


"まぼろしのように"

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る