恋の狂気 ~ある女の日記~
赤星アヤメ
12月25日 クリスマス
今日はクリスマスだった。フランス料理の店で和彦とコース料理を食べた。彼にマフラーをプレゼントした。私は白いベレー帽と髪留めを貰った。彼は「ポニーテールが好きなんだ」と言った。この髪留めを使え、と言われているような気がした。
帰り道、途中まで二人で手を繋いで歩いた。私はまったく何の感情も抱かなかった。嬉しくも楽しくもなかったのだ。
駅前で別れたあと、自分の車に乗り込みエンジンをかけた。しばらく走っていると、どういうわけか、急に可笑しくなってきた。笑いがこみ上げてきて、信号待ちをしているときだったが、私はアハハハハと大きな声を上げて、しかも自分でも驚くほど気味の悪い高笑いがこぼれたものだから、余計に可笑しくなって、しばらく笑っていた。すると、ふと可笑しくなくなったので笑うのをやめた。…………
家に帰ると、自己嫌悪に苛まれた。なぜこんなにもクズのような人間なのだろう。最悪だ。最低の人間だ、自分は。
しかし、地の底まで下がった気分は、ほんの些細なことで一気にもとに戻った。いや、私にとっては些細ではない。ユイからメッセージが届いたのだ。彼女からのメッセージは初めてだったので、本当に嬉しかった。内容はただの授業についての相談だったが、自分を頼ってくれたという事実に、私は完全に舞い上がっていた。
ああ、こんなに幸せを感じたのは久々だ。もっと、彼女と仲良くなりたい。
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