2
からん、からん。
一歩踏み出す度に、レジ袋の中で2つの缶が音を立てる。
燃えるような夕焼けが、両脇に延々と広がる田んぼの水面に反射していて、周りは全て朱色に染まっていた。
からん、からん。
人々の喧騒、落書きだらけの看板、一晩中光り輝くネオンサインが懐かしい。早く東京に戻りたい……私は、そんな事を考える。
私は、全て切り捨てて生きている。
からん、からん。
「──久しぶりだね、会いたかったよ」
私には友達がいない。
からん、からん。
「今、楽しい?」
私は孤独だ。
からん。
「ねえ、どうして一緒に居てくれなかったの」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます