第3話 このまま底辺生活をしていれば、落第確定
「ウィン……だ、大賢者は特別なんだ!
この聖マリの世界には、特殊なルールが存在する。
それが
俺たちに備わっている力や魔力、知能といった個人能力。
聖マリのプレーヤー視点ではステータスで個人能力を確認出来るけど、ウィンフィールド・ピクミンというキャラに転生した今では、どう足掻いても自分のステータスを確認することは不可能だった。
聖マリの世界では、俺たちは上位の
誰もが、
例えば、剣士という
だけど、戦闘職に就くには厳しい修行が必要であり、人間の大半は村人、街人なんかの
しかし、俺がいるこのホーエルン魔法学園。
この場所は世界でも有望な若者が集まる魔法学園であり、世界でも珍しい上位の
「ね、ねえ落ちついてウィン。もっと安全に大賢者になる道はある……」
「俺はこれまで、大賢者になるために、底辺の生活を送ってきた。でも、ミサキ。俺はスケルトンと呼ばれるために、このホーエルン魔法学園に留学してきたわけじゃない」
「それは……そうかもしれないけど……で、でも、大賢者だよ! これからも頑張る価値はあるはずじゃないか!」
ミサキの言う通り、大賢者は最強の一つとされる職業だ。
難解な条件を幾つも達成し、正しく順序を追って進化しないといけない。
大賢者へは、通常、賢者からの進化が一般的だと、そう信じられている。
でも、確証は無い。
それは大賢者の
大魔王一派のミサキからすれば、大賢者となった俺を敵側へ寝返らせたいから、ただの
失敗すればミサキはこれまでの努力、全てを失う。
折角この人間世界の大拠点とも言えるホーエルン魔法学園に侵入出来たのに、奴隷所有者の俺を失ったら、ミサキもこの学園を自動的に追い出されてしまう。
ミサキも必死だ。
でも、俺は早急に大賢者にならねばならない理由があった。
「明日から新学期が始まる。つまり、俺は二年生になるわけだ」
「う、うん……そうだね……」
「ミサキは知らなかったのかもしれないけど、学園の規則では、二年生からギルドでの冒険者登録が必須になる」
季節は、春。
俺がホーエルン魔法学園に入学して、ちょうど一年が経過した。
今日は俺たち新二年生にとっては新学期最初の日。
「あああ! つまりだなミサキ! 今の俺ってぼっちだから、誰ともパーティが組めないんだよ! このまま底辺生活を送っていたら――!
今頃、新一年生達は大講堂での長いオリエンテーションを終えて、男子寮や女子寮に戻ってくる頃合いだろう。
明日から、数千人の新入生達が学園生活を始める。同じ授業を受けるかもしれないし、野外演習なんかで同じグループになるかもしれない。
「——俺は自動的にホーエルン魔法学園を、落第してしまうんだよッ!」
今日を境に、聖マリのゲーム世界は一変するんだ。
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