第172話 経験値の必要性も分からないベテランパート

中小企業の小売りチェーンでは、30歳にも満たない若い社員が店長に抜擢されることがよくある。

40歳前後の店長経験のある中堅社員が給与や福利厚生の悪さに転職してしまい、残された若手社員が抜擢されるだけだが・・・

若いので経営者からの「のし上がるチャンスだ!きっと明るい未来がやってくるから頑張りなさい」と言うようなマインドコントロールによって安い給与で残業代もボーナスも無しに無心に働き続けるから長時間労働にも耐えうる都合のよさだけが本来の抜擢理由だ。だいたいが高卒だっり、高校中退のフリーターから社員に採用されたりした人。(高卒や高校中退が悪いわけではないが)

本人はやる気満々。

だが、迷惑を被るのはそんな店長の下で働く従業員たち。

ベテラン社員が店長で赴任しても、どんな店でも「今までとやり方が違う」と従業員が戸惑ったり、反発したりすることはある。

しかし、今まで下働きしかしていない店舗運営の経験がない若い店長の下では、「今までのやり方」すら比較できないトンチンカンな実務レベル。

全ての歯車が狂いだし、客数も売り上げも利益も減るばかり。

当の若い店長は本部から指示されたことだけを優先させ、その商圏での客層にあったプロモーションなどの意識もない。多分、何も分からないのだろう。

何も分からないのに、店の従業員の言葉には耳を傾けない。

「正しいのは俺だ!」という感覚。

学習意識や部下であってもお店のベテラン従業員の話を取り入れることもしない。

熱意だけで何の経験値もなく応用力もなく、店では空回りの連続。

ほとんどの従業員から

「あいつはバカだ。バカの相手なんてしてられない」「早く新しい店長に代わらないかな」などとひそひそ話。

そんな中、若い店長の熱意に触発されて、店長を勇気づけようとしたり、賛同しようとするベテランパートも現れる。

「年齢や経験なんか関係ない!頑張りましょう」と。

そんなパートはベテランでも、あまりお店の戦力にはなっていない人。

掛け持ちで一日にほんの2.3時間くらいしか働いておらず、商品担当など店の運営の大事な業務には携わっておらず、短時間勤務なのでその場その場のお手伝い程度。

そのパート自体も経験値がない人。

経験値のない店長に経験値のないパートが賛同する・・・

店舗運営はそんなに甘いものではない。



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