ヤンデレによるヤンデレのための乙女ゲームを━━━━━━━━━━━ぶち壊します‪♡

夢兎

転生、そして──

@1

「あ゛~!またバッドエンド!────様、難しすぎるよぅ」

「こーら、歩きスマホはダメだって言ってるだろ?また取り上げるぞ?」


青い空の下、項垂れる彼女の頭を軽く叩いた

手に握られたスマホ

私まで見慣れてしまったそのスチルにため息をつく

またダメだったのか?なんて問いかけつつ、ぼんやりと赤信号を見上げる


「聞いてよぅ…次こそはいけると思ったのに!」

「はいはい、戻ったら聞いてやるからなー」


横で騒ぐ彼女をなだめて、目の前を横切っていく車を目で追いかける

赤、黄色、黒、白、様々な色、形の車が前方を通り過ぎていく

勢いよく通っていく車を見ていたから、だろうか

その光景は、本当に、スローモーションと表現するのに相応しかった

横から聞こえる、機械的な鳥の囀りさえずり

それと一緒に、足を踏み出す友人

鳴り響くクラクションの音に私だけがスローモーションから抗った

2歩、3歩、と大きく踏み出して、微かに前屈みの背を押し退ける


「……ぁ」


咄嗟の行動

その後を考えていなかった哀れな末路

スローモーションだった景色が、再生されれば──


       私は死ぬ。


        そして


   ────その時はすぐに訪れた

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