第31話この雌豚達は誰なのですか?





「で、この雌豚達は誰なのですか?お兄ちゃん」


そして今現在、俺は苦渋の決断により妹である雀をこの異世界へと連れて来ていた。


そして妹は異世界に来るや否や開口一番俺の前にいる女性達に口撃を飛ばす。


「私はこの国の第三王女でありクロード様の婚約者だぞっ!」

「わたくしは冒険者ランクSSSであり白銀の白雪、ヒルデガルド・ランゲージであり、クロード様のペットですっ!おいおいは奴隷にしてくれる約束をしてくれてますっ!」

「私は冒険者ギルドの受付嬢であり賢者の二つ名を頂戴しております、シエルヨハンナであり、クロード様の彼女です。他の者達は強引にクロード様の意思など無視してそうほざいていますが私はしっかりとクロード様より愛の告白を頂戴し、受け入れて正式に彼女にして頂来ました」

「わたくしも、わたくしから第三者が多く居る中クロード様に愛の告白をし、クロード様がそれを受け入れ頂き、正式に婚約を致しましたわっ!そうっ!正式にっですわっ!嘘だとお思いでしたら他の貴族に確認して頂ければわたくしとクロード様の婚約が本当であるという事が分かりますわっ!」


そして我が妹の問いに何故か全員胸を張って答えて行く。


と、言うか何で全員ここに居るんですかね?ここは適当に来た居酒屋なんですけど。え?女の勘?スキルなどの間違いでは?そんなスキルは無い、と。


知ってはいた。


コイツらが最早一人間として考える事が間違いである事など、知ってはいたが、それで納得するか納得しないかは別問題である。


「それで、そう言う貴様こそ誰なんだ?我が旦那様に、そうするのが当たり前かの様に腕を絡めてしな垂れおってからに。まるで春売りではないか、はしたない」


そしてこの変態達の中、レミリアが代表して雀に対して同じ質問を投げ返す。


「私ぃー?私はねぇー、雀。妹なの。お兄ちゃんの、正真正銘血の繋がった妹なの。貴女達みたいに別れたら他人になる様な浅い関係ではなく、家族という切っても切れない関係なの。当然私はお兄ちゃんと結婚して子供を三人作り、幸せな家庭を作ります。妾は必要ありません。その分私がお兄ちゃんを愛しますので安心して下さいね?雌豚さん達」


妹よ、冗談だとは思うが残念ながら兄妹同士は結婚出来ないという事を忘れてしまってるぞ。このお茶目さんめ。


「……………………旦那様よ」

「残念ながら嘘偽り無く血の繋がった妹だ」


そして妹の言葉を聞き、青筋をいくつも作りながらも怒りに耐えているレミリアが殺気を隠し切れていない声音で本当にコイツは妹であるのか聞いてくるので、本当に、本っっっ当に残念ながら肯定しておく。


「と、いう事は私の義理の妹という事になるのですねっ!大丈夫です。貴女や他の婚約者達が寿命で死んでしまった後も女神である私、アテネが夫である貴女のお兄様の面倒は任せて下さいっ!あ、このピザポテチっていうお菓子美味しいですね」


そしてこのタダでさえ面倒な状況にさらに拍車をかけるように駄女神アテネが口を開く。


その姿は女神とはしてはどうなのかと一言申したくなる様な姿であった。


左手には俺が買い与えたピザ味のポテトチップスの袋が、右手にはそのポテトチップスが摘まれ、そうするのが当たり前であるかの如く何の躊躇いも無くその口へと吸い込まれて行く。


そして顔には眼鏡をかけており髪は整えるのが面倒臭いと言わんばかりにポニーテールに縛られており、その服装は紅芋色をした体育ジャージ、胸元には『あてね』とワッペンが縫い付けられていた。


「なぁ駄女神」

「何でしょうか、愛しの夫様」

「その干物女をイメージさせる様な格好と立ち振る舞いは何ですかね?」

「あぁ、これですか?これはですね、初めから底辺を見せる事によりご家族である妹様の後の私の評価はこれ以上下がる事は無く、最早何をしても好感度は右上がりになるという作戦ですっ!」


そして俺は駄女神に、この変テコな格好をしている理由を問うと『フンスッ!』と自信満々に答えてくれた。

そして駄女神であるアテネの作戦を聞いた他の女性陣が『その手があったかっ!』という様な表情を皆一様にしているではないか。


何だろうか?俺の考えが世間一般的な思考からズレているのであろうか?と思いそうになるも、こいつらはそもそも頭がおかしい変態であるという事を思い出して何とか自分の考えがまともであると思い留まる事が出来た。


「ふーん、お兄ちゃん、私に隠れて女をこんなにも作っていたなんて………ショックだなぁー。私達家族はお兄ちゃんが死んだと思ってズッと悲しんでいたというのに、その間お兄ちゃんは女を侍らせて夢見ごちですか、そうですか」

「いや、待てっ!そもそも俺はちゃんと一回死んでいるからなっ!?それにコイツらは勝手にそう名乗っているだけれ俺は別に侍らせていないし夢見ごちでも無いっ!」

「ふーん………まぁ、そういう事にしといてあげる。今は、例え異世界で異性を侍らせていたとしても、お兄ちゃんが生きていると分かっただけで凄く嬉しく思えるから、今回だけは目を瞑ってあげる。でも、もう後悔はしたく無いから容赦無く攻めさせて貰うからね、お兄ちゃん」

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