回収屋さん
@Benway_
無題1
朝、まだ薄暗い部屋の中。空から鈍く降る蒼い明かりが、部屋の中を写し出す。
真っ白なシーツの上に長く広がる白銀の髪。淡く光る髪の元をたどっていくと十五ぐらいの少女が寝ていた。病的に見える白い肌、髪より若干長い身の丈、貧相な体つき。その一糸まとわぬ姿であった少女は目を開けて体を起こした。その目は深い赤色をしていた。
「おはよう、私。」
小さく空気に囁くように言った。まだ日が昇っていないせいか少し肌寒さを感じる。
空を見つめていた、窓から見える。眠い目を擦りながら、ぼさぼさになった髪の毛を起こし上げ、感じている。
今いる世界の、今生きている世界の、不愉快さを。
それに対する感情が寝起きだというのにも関わらず、頭を殴打してくる。最悪だ。
起こした上半身の違和感に若干顔を顰めながら裸足の足で冷たい床にそっと立つ。自分の中の体液がどっしりと下半身に移動し、二歩ほど足をふらつかせる。ゆっくりを背伸びをし、それに呼応するように長いあくびが出る。
目頭を強く擦りながら、寝起きの足取りで直線上にある背もたれのない椅子へと腰を掛ける。木の鉄のような触感が巻き込まれた髪の本数とともに尻を刺してくる。椅子の前には少し低めの机があった。背中が丸まった状態で羽を取り、羽の先端を黒ずんだ液に入れ、丸く付いた先端の黒い球を適量落としながら、机の上に開けっ放しの記録帳に更に腰を丸くして、書き込む。
「記ろくをとり始めてから三十七回目。思い出したこと、無し。い和かん、あり。気分、最低。.....」
所々ひらがなになりながらも懸命に記録を残していく。
「今日の予定、無し(今は)。体の変化、無し。朝。」
数分手帳に突っ伏したあと、黒い染みが擦れないように手帳を開いた状態で床に落として........。
すとんと、背表紙から落ちていく手帳は宙に放り出された間、数枚の紙を捲り、床の埃を舞い上げさせて開いていた。
その間に私は腕を組み、机の木目に接吻するほど顔を近づけて寝た。二度寝だ。
......今書く必要.....
ゆっくりと瞼を閉じて、また小さな寝息を立てながら少女は眠っていった。窓から差し込む光が少女の白いうなじを撫でるように照らして。
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