夜叉狩り

東江とーゆ

第1話 乾泰彰

乾泰彰は、薄暗い店内に入ると素早くコートの中で印を組む。


己れの体右半分から土腐のように闇が湧き出してくる。

『ヤッさんよう、早く独鈷打ち込みてぇよ』闇は求め、熱り勃っている。


『煩い、黙れ同族殺しが』

闇に塗れた半身に悪態を吐く自分と、寂静の境地に留まって粛々とマントラを唱え始める自分。


オン・バザラ・ヤキシャ・ウン


さあ、夜叉狩りの時間だ。

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