一冊のノート

机の上の開きっ放しのノート

何も書くことが思いつかないから

真っ白なまま


毎日の出来事や夢を

書いていくつもりだったのに


その前に心が壊れちゃったから

何も書いていない


窓から吹き込む風で

真っ白なページがめくれるだけ


何もない

何も書かれていない


それはきっと

私の人生と同じで空っぽだ


一冊のノート


君は寂しくない?

空っぽのままで寂しくない?


今の私は君を悲しみで

埋めることしか出来ないから

まだ何も書けないんだ


ごめんね


何だか私は

色んなものに謝ってばかりだ


******


太陽が眩しかった

風が気持ち良かった


太陽の光は真っ白なままの

君を照らしていた


たくさん悲しんで

たくさん苦しんで

たくさん泣いて

色んなことを覚えた


だけど君と向き合う勇気が無い


私の灰色な心は

君の白さを羨ましがっている


まだ私は何も書けない


******


大切な人が出来て

愛というものを知った


愛は心の中で大きく光って

悲しみを照らし


悲しみは逃げ出すように

目から零れ落ちて

心の闇は消えてしまった


心は白く輝いている


一冊のノート


君がここに来て何年経ったのか

今なら君と向き合える気がする


待たせてごめんね

今日から君に命を吹き込むよ


私が経験して来た大切なものを詩にして


その前に

君と呼ぶのは味気ないから

君に名前をつけよう


君を手に取り

何にしようか考える


よし決めた


今日から君を

「心の声」と

呼ぶことにしよう

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