(参加作品その13)魔心屋アイヴィ・ダンテスと失われた娘(石川へるま様)

   

『魔心屋アイヴィ・ダンテスと失われた娘』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054890266886


【コンテスト名】第3回創元ファンタジイ新人賞

【一次選考通過数/応募総数】22作品/153作品



(私からの一言)

 少し読み始めたところで、異世界ファンタジーだけど現代ファンタジーっぽいと感じました。……と言ってしまうと、なんだかよくわからない感想でしょうね。

 現代ファンタジーにしても面白そうな設定を異世界ファンタジーに組み込んでいる感じ、と表現したら、私の受けた印象が伝わるでしょうか。

 全四章からなる作品です。第一章は、それ自体がきちんと起承転結のある物語でありながら、その中で、作品の設定・世界観をうまく説明しています。よく出来た導入エピソードだと思いました。

 第二章では、少し視点を変えた感じで世界観を深めつつ、単独のエピソードとしても一区切りついたところで次へ続く、という感じ。実は第一章の途中あたりで、私は「この作品は、いわゆる相棒バディもの。ダブル主人公で、しかも一人は巻き込まれる形で相棒パートナーになっていく。……そんな感じだろうか?」という印象も受けており、第二章が終わったところで「ここで主人公の交代? 今まで相棒だった方が、次章からはメイン主人公に?」とも予想したのですが……。

 良い意味で裏切られたのが、第三章でした。別の意味で第二章までとはガラリと変わりますが、物語が一本道なので、とても読みやすい。正直、ここまでで一番面白いかもしれない、と感じました。

 そして第四章。最終章に相応しい、圧巻の内容でした。

 全体として、四章それぞれがまさに起承転結であり、読者を飽きさせない構成になっています。またキャラクターの描き方にも深みがあり、だから序盤の群像劇っぽい部分も、割と読みやすいのでしょう。

 物語のラストも、個人的には好きな感じでした。オリジナリティあふれる異世界ファンタジーを好きな方々には、ぜひ読んでみてほしい作品ですね。

 いずれ時間のある時にもう一度、今度は最初から最後まで一気に読んでみたい。そう思わせる作品でした。

   

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