第74話 嘘でしょ!!
私たちの前には魔王城と思われる廃城がある。 壁は苔はおおわれてところどころ大穴が開いていてどこからでも入ることができるようになっていた。
「これ、だれが見ても魔王城だとは思わないね」
私は魔王城を見て最初に見た感想がそれだった。 みんなもそう思っていたらしく、私の言葉にうなずいていた。
私たちは魔王城に乗り込んだ。 魔王城の中に入ると歌が聞こえて来た。 その声はとてもきれいでずっと聞いていたいと思えるほどの歌声だった。 だけど、その声におかしな魔力が混じっているように感じた。
「変な感じな魔力を感じるね」
「そうだね、これはあまり長く聞いてたらダメなやつだね」
私とアオイはそう言いながら奥に進んでいっていた。 奥にたどり着くとそこは大広間になっていて、その大広間の中央にカルディとコンちゃんが私たちの事を待っていた。
「お待ちしておりました。 あなた方が来ることを心待ちにしておりました」
コンちゃんは何も言うことなく、そっと頷いただけだった。
私は唇を噛みそこから血が流れ出ていた。 これには誰も気が付くことなく互いに臨戦態勢に入りいつ戦闘が始まってもおかしくなかった。 どちらが先に動いたかわからないほどの誤差でアリシアさんとカルディが動いた。
二人の衝突は激しく、衝突時に起きた風で吹き飛ばされそうになるほどだった(ユイさんとユウキ様は飛んでいった)。
私もアリシアさんに続いていくが、私の相手はコンちゃんになってしまう。
「コンちゃん! 元に戻って! 私はコンちゃんと戦いたくないよ!!」
コンちゃんに必死にそう言うが、コンちゃんとの鍔迫り合いが終わることはなかった。 逆に徐々に私の方が押されていっていた。
「ロゼ!」
その声とともに首筋にチリッと殺気を感じて咄嗟に短剣を滑らせてコンちゃんとの距離をとった。
そこに合わせるかのようにアオイの横薙ぎがコンちゃんの頬を掠った。 コンちゃんの頬から一筋の赤い滴が頬を伝い始めた。
コンちゃんの態勢を完璧とまではいかなかったけど、コンちゃんは私が流そうとした瞬間からこうなることが分かっていたかのように崩された状態から頬を掠めるだけに終わった。
「ロゼ、手加減したんじゃないでしょうね」
「してないよ。 今のは完璧にコンちゃんの方が一枚上手だっただけ。 それに、私がコンちゃんの弟子だとしても私は手を抜かないコンちゃんならそうするはずだから」
アオイにそう言った私の事を驚いた顔で私を見た後にアオイは「そうだね」と笑って目の前に立っている妖狐コンちゃんを見据えた。
目の前に立っているのは、私たちの師匠ではなく妖狐の姫だということそう決めて魔法を放つ。
『焔魔法『
「「嘘でしょ!!」」
絶対に決まったと思っていた私とアオイは変な声が出てしまった。
私たちの手が止まってしまったその隙をつかれて私の懐まで入り込まれててしまった。 コンちゃんの魔力によって強化された拳が襲ったがギリギリのところで精霊魔術で防御が間に合いダメージを最小限に抑えた。 それでも、ツタでの防御を貫通してきたものに関しては受けてしまい、肋骨の一部が折れ、ヒビが入った。
『不死鳥の焔』
私は焔魔法の回復魔法を使って回復をした。 傷口が燃えていき、傷が消えてしまうそういった魔法である。 実際に燃えているけど全く熱くはない不思議な魔法である。
回復する時間をわざと与えていたコンちゃんは地面に手を当てて何か唱えた。
すると、私の周りにあったツタが突如枯れて朽ちてしまった。
「呪術でツタを枯らせられた」
そう呟きながらも周りに何かないかを探すが魔王城周りの植物はすべて枯れてしまっていた。
私に頼れるものが無くなったことを見たコンちゃんは一気に詰めてきた。 それを、私は瞬動でかわしていき、口元を抑えて式句を聴かせないように唱えた。
「合わせて!」
腰から世界樹の杖を抜いてアオイに無茶振りをしながら私は魔法を唱えた。 その魔法は地面から木の根を生み出した。
『精霊魔法『スプリングウィップ』』
木の根がしなりながら、神ちゃんを捕らえた。 それに合わせてアオイがコンちゃんを完全に捉えた一撃を叩き込んだ。 しかし、それも結界魔法による防御で受けきられてしまった。
「やっぱり、強い」
「師匠は強いに決まってるでしょ。 でも、あれは違う」
コンちゃんの力を持つ別の誰か、だから、あの魔法をコンちゃんに使いたい。 でも、私はアオイみたいに出来ないから難しい。
足止めではなく、完全に動きを止めたい。 『スプリングウィップ』も少しの間だけの足止めにしかなっていないから
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