第35話 朗報

 



 静岡の自衛隊演習場で小長谷をシゴキ倒し、女性自衛官たちに優しく指導してから俺とカレンは河口湖にある旅館に戻ってきた。


 ここは防衛省が貸し切って用意してくれた宿で、河口湖を一望できる露天風呂がなかなかいい感じだ。最近はカレンに旅館内なら耳を隠さなくていいと言ってあるので、カレンも伸び伸びと過ごしている。


 そのうち従業員から少しずつ情報が漏れるだろう。もう少ししたら外でも隠さないでいれるようになると思う。日本人はエルフとかに抵抗ないからその辺は心配していない。


 俺がルンミールたちと会談した翌日に、小長谷にはカレンのことを話してある。地下世界の住人ではないが、同じ種族だってね。そしたらダークエルフと整った顔立ちが似ていたから、もしやと思っていたらしい。確かにエルフ種を見たら似てると思うかもなと俺も思ったよ。


 んでついでに10年前にエルフとかがいる異世界に飛ばされて、インセクトイドとは違うがファンタジーの魔物みたいなのと戦ってたって言ったら勇者召喚かよってかなり驚いてた。


 確かにどんな魔結晶でも身に付けられる特典はあったけど、その魔結晶は自力で手に入れなきゃいけなかったからな。勇者召喚ならもっと最初から使えるチートが欲しかったよ。それならアルガルータで途方に暮れていた俺を助けてくれた恩人を助けられたのにな。


 まあ驚く小長谷に俺は意地悪をしたくなって、小長谷に融合した魔結晶はその魔物の身体にあったものだと教えてやったら無言になってた。後から聞いたら侵食されて魔物化しないか心配だったらしい。確かに融合って聞いたらそう連想しても仕方ないよな。


 んで久々に動きまわった俺はカレンと温泉に入って2回くらいシテから部屋に戻ってきて、ちょっと外に涼みに行ってくると言ったら、カレンはベッドで寝転がって音楽のPVを見ながら手の代わりに足を振ってたよ。


 ここ最近毎日同じ時間に外に出てるから、俺がフィロテスにに通信をするのがバレバレみたいだ。


 フィロテスには、初めて会ってからこの2週間毎日通信をしている。この時間はフィロテスはお風呂上がりで部屋着を着ているんだ。その部屋着も最初はピンクのパジャマだったんだけど、日に日に大人っぽい黒のネグリジェとかになっていってるんだよね。


 それなのに部屋にはぬいぐるみがたくさん飾ってあってさ、可愛いものが好きなんですって恥ずかしそうに言うんだ。もう制服をビシッときめた美女が、プライベートではぬいぐるみに囲まれて頬を染めてるんだぜ? このギャップに落ちない男とかいる? しかもネグリジェの下はノーブラだ。俺は毎日ネグリジェを持ち上げる乳とその先端のポッチを見るのが楽しみなんだ。


 フィロテスには男性経験とか聞いたりもしたんだけど、なんと未だにバージンらしい。それはフィロテスだけではなく、結構な数の女性がそうみたいなんだ。どうやらアガルタのダークエルフの女性は、結婚できない子が多いみたいなんだよね。


 原因は恐らく技術の発展により、アルガルータと比べて子孫を残さないといけないという義務感が薄れた結果なんだと思う。ただでさえダークエルフの男は淡白だからな。アルガルータでは義務感と女性が性欲強めだったからバランスが取れてたのに、それが崩れたから女性があぶれたんだろう。フィロテスもかなり欲求不満で焦ってる感じだった。


 彼女は平民には珍しく自然に産まれた子らしくて、人工的に子供を作るのは嫌みたいなんだ。子供が自分より寿命が短いのは辛いんだって。だから早めに結婚したいみたいなんだけど、ダークエルフの男の奥手具合に嫌気がさしていたらしい。


 そんなことを聞いたらもうさ、押しの一手だろ。早く口説いてカレンに認めさせて、俺のハーレムに入れてあげないといけないって義務感さえ湧いたよ。カレンも自分を差別しない子ならそんなに拒絶はしないしな。焦らずゆっくりとだ。俺は絶対にあのギャップ萌えのナイスバディフィロテスをモノにしてみせる!


 そんな決意を胸に、今日も俺はフィロテスへ通信を繋いだ。


 するとちょうどお風呂上がりだったようで、頭にタオルを巻きまだ濡れている身体にバスローブを羽織っているフィロテスが空中ディスプレイに映し出された。どうやら慌てて通信に出た様子だ。


 そのせいかバスローブが乱れており、胸の谷間がクッキリと見える。


 俺が無言でフィロテスの胸の谷間を凝視していると、フィロテスも自分の姿に気付いたのか顔を真っ赤にして慌ててバスローブの乱れを正していた。うん、可愛いよなやっぱり。カレンだったら『お乳吸う? 』とか言って片乳をポロリと出してくれるんだけどな。その違いもまた新鮮だ。


「お、お目汚しをしてすみません」


「そんなことないさ。もっと見ていたかったよ。お風呂に入ってたんだろ? また掛け直そうか? 」


「い、いえ! 大丈夫です。ワタルさんと……お話したいです」


「そうか、俺もだよ」


 くうぅぅ! やっとここまでキタッ! 毎日口説いた甲斐があったぜ!

 ほんとダークエルフの男どもは馬鹿じゃねえの? こんないい女を放置しておくとかさ。


 俺が救世主にならねば……俺がダークエルフの美女たちの救世主にならねば!


 それからいつも通り今日なにしてたとか、何を食べたとかそんな話をお互い和かに話していた。それから徐々にシモの話に持っていき、乳首の色を聞いた時に赤面してモジモジしているフィロテスを眺めて俺は興奮していた。


「な、ナイショです。あ、その……そうです! お伝えしないといけないことが。明日ご連絡しようと思ってたことなのですが、ワタルさんの要望が議会を無事通りました」


「お? 増幅装置の許可が出たのか。それはカレンが喜ぶな。色々尽力してくれてありがとうな」


「いえ、あの魔結晶の威力が予想以上でしたので、王を始め六元老の方々と伯爵位の方々の了承を得ることができました」


「そっか、それは儲けたな」


 あんなんでいいなら安い買い物だな。確かフィロテスが小型化した増幅装置があると言ってたからな。形次第じゃ俺の変形と融合の魔法で取り付けることができるな。


「つきましては王宮にご招待して歓迎の宴を催したいと王が仰られてまして……」


「え? 王宮に? やだよ。フィロテスは信用してるけど、ほかの奴らは信用してないし。罠とか張られ放題じゃん。俺はアメリカを使って俺とカレンを捕獲しようとしたエルフを警戒してる。王がエルフならなおさらだ」


 1万5千年も続いている国の王がいる王宮だ。固定式の強力な魔導装置みたいなのがないとも限らない。いや、強力な力を持つ俺と王を会わせるくらいだ、十中八九あるだろう。


 魔銃も剣もエーテル結晶もあるから、体内のエーテルを封じられても戦えるが、なにもわざわざ危なそうなとこに行くことはない。カレンがいるんだ。いくらフィロテスの頼みでもこれは聞けない。


「ですよね……そうおっしゃると思ってました。しかし増幅装置のみの持ち出しは禁止されておりますので、王の客人ではなく情報局の客人として迎えさせていただければと思います。そして兵器局の工房にて、極力エルフを排除した状態で受け渡しを行いたいと思います。そこで武器をお預かりして、取り付けを終えるのを確認させていただければ結構です。2日ほどでできると思います」


「兵器局ねえ……まあ王宮よりはマシか。俺とカレンの武器は特別製だ。そっちの鍛治士で取り付けられる腕の良いドワーフとかがいるの? 」


「はい。ハンザリオン共和国からお借りしている腕の良いドワーフがいます。ミスリルを扱わせれば右に出る者はいないと言われております」


 ミスリルか……魔鉄を扱えなきゃ無理なんだけどな。この間聞いた時にフィロテスは魔鉄を知らなかったからな。どうやらミスリルが武器には一番良い素材になってるみたいだ。


 ちなみにミスリルはアガルタでも採掘されるらしい。ほかの惑星でも鉱床が発見されているようだ。そうはいっても希少金属なのは変わらない。需要に供給がまったく追いついていないことから、下手したらアルガルータより希少かもしれない。俺はインゴットをいくつか持ってるけど。


 でもそれを遥かに凌ぐ硬度があり、エーテルもよく通してさらに軽い金属が魔鉄だ。これはエーテル濃度が濃い鉱床で稀に見つかるものだ。アルガルータの全種族が持っていたのを集めてでさえ、俺の剣とカレンの魔銃と短剣を作る量しか手に入れることができなかった。


 当然加工技術も特殊だ。アガルタのドワーフでも扱えるか微妙なんだよな。


 やっぱエーテルめっちゃ使うけど、変形と融合でやるしかなさそうだ。


「まあとりあえず行くよ。見てみないとわからないし」


「ありがとうございます。それでその……言い難いのですがカレンさんにその……」


「ああ、帽子を被らせるってこと? まあわざわざ嫌な思いさせたくないから被らせるけど、そんなに酷いの? 」


 俺はフィロテスが言い難そうなのを察してカレンに帽子を被らせて行くことを告げた。それでも近くで見ればルンミールが気付いたように、同族ゆえかわかっちゃうんだけどな。


 フィロテスもなんとなく同じ波長のようなものを感じたって言ってたし。だからこそまったく同じではないことに違和感を感じて、ハーフだと気付いたんだろうな。


 しかしそこまで差別が酷いのかね?


「その……言い難いのですが一部の貴族にエルフ至上主義者がおりまして……ハーフエルフも国を出て獣人や巨人族のもとで暮らす者が多く……その……申し訳ありません」


「それは酷いな……まあエルフの国はあんまりうろつかないようにするよ。言い難いことを教えてくれてありがとう。カレンを無駄に傷つけないで済むよ」


「ワタルさん……カレンさんが本当に大切なんですね」


「恋人を守るのは当たり前だろ? 」


「……はい。ワタルさんに大切にされているカレンさんが羨ましいです」


「それならフィロテスも俺の恋人にな……」


「ワタル……もう寝る」


「うえっ! わ、わかった! んじゃフィロテス! 日程は任せるから決まったら教えてくれ! んじゃ! 」


「え? あ、はい……」


 俺は部屋から呼びにきたカレンに、いいところで声を掛けられ慌てて通信を切った。


くそっ! いい雰囲気だったのに! あと一歩だったのに!


「ワタルは相変わらずマメ」


「情報収集だよ。それより増幅装置を手に入れられるぞ。アガルタに取りに行かないといけないけどな」


 俺は悔しさを押し殺し、迎えにきたカレンの腰を抱いて部屋へと歩きつつカレンの喜ぶ情報を伝えた。


「おおー……それは朗報……ワタルがんばった」


「まあな。んで、アルガルータより差別あるみたいなんだ。大丈夫か? 」


「問題ない……ワタルがいるから大丈夫」


「そっか、まあ俺が守ってやるから安心しろ」


 アルガルータの時みたいにな。


「んふっ……ワタルに愛されてる」


「ばっか、俺は差別が嫌いなだけだ。別にカレンに限ったことじゃねえし」


 俺は腕に抱きつくカレンを振りほどき、誤解のないようにそう言った。


「ワタルはツンデレ……いつも私のことを考えてるのに素直じゃない」


「はあ? 今はフィロテスの乳で頭がいっぱいだし! 自惚れんなよ」


「私のお乳の方がワタルは好き」


 カレンは部屋に入ってからそう言って浴衣の胸もとをズラし、その白くて大きな乳を出した。


「ま、まあな……」


「んふっ……お乳吸う? 」


「……吸う」


 俺はカレンの乳の誘惑に勝てず、そのままベッドに押し倒してむしゃぶりついた。


 やっぱこの乳最高だわ。


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