第19話

 そして秋穂と私は客とホステスから深い関係へと変わり、籍は入れていないが一緒に住むことになった。実家を出る時には突然の展開に親は驚いていたが、もともと歓迎された存在ではなかった私たち母娘は深く追及されないまま新居へ越すことができた。


 追及されないことはありがたかったが、一抹の寂しさが過ぎったことは隠し切れなかった。両親から見て私は恥の多い子どもで、大人になってまで心配と迷惑をかけ続ける厄介な存在であったのだとはっきりしてしまった。確かにそんな存在なら長居されるのは迷惑だろう。近所の目だってある。


 寂しさと解放感を抱えて私は桃香と二人、小さな荷物を持って実家を出た。

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