第13話

 面接をした次の日から張り切って仕事を始めてみたものの、苦笑いされるようなギクシャクとした接客とそんなに強くない酒に打ちのめされる日々が続いた。


 二十時過ぎから働いて、午前零時を過ぎたころに店を出て、ふらふらと千鳥足寸前の状態で寂れたネオン街を歩くと、仕事を始めた時の決心が揺らいだ。体への負担がスーパーのレジ業務の比ではないということを身を持って感じたからだ。キツイ仕事であることは想像していたが、ここまでとは・・・。

 

 いつまでも続けられる仕事ではないと思った。母の怪我が治れば以前と変わらない生活ができるが、それが良いとも思えない。仕事がハードな分、給料はとてもよかった。一度高収入を得てしまうと、もう普通の仕事には戻ることはできない。


 健康的だが報われない生活をするか、負担の大きい仕事をしながら高収入を得るか。答えはもちろん後者だ。長く続けられないのなら短期間でしっかりと稼ぐことを目的として粘るしかない。馴れなければ馴れるまで同じことを繰り返すまでだ。体を壊さなければ、今は若さで何とか凌げるかもしれない。心が折れてはそんなことを考えながら自分で自分を叱咤激励していた。


 私は二日酔いが治る間もなく週に四回は店に出勤して、がむしゃらに酒を飲んでは嬌声の響く店内で愛嬌を安売りする世界を生きた。

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