11.教団X

 中村文則「教団X」です。この小説はなんか、すごいんですけど、もしかしたら読者を選ぶかもしれないですね。話自体は全然違うけれど、私はノルウェイの森と同じような感じで読者を選ぶような気がします。というのも、この小説の一つのテーマが「性」だからです。この小説では二つの教団があって、一つは真っ当な教団なんですが、もう一つがカルト的な教団なわけですが、その教団が謳っているのが「性」の解放だったりするわけですね。だから性描写が濃くて、官能小説を読んでるような気分になったという人も結構います。たしかに、結構露骨に描かれているようには思います。人によっては、気持ち悪いのかもしれないです。しかも、作中では脳科学みたいな話とか、それこそ教義の話とか、ストーリーに直接関わるわけではない小難しい話も結構多いんです。あと終わりもそんなにスカッとするもんじゃないです。だから、なんだろうな...途中の雰囲気を楽しむ本(これは作者が意図することじゃないかもしれないし、本当にこの本が好きな人に怒られるかもしれないけれど、あくまでこの本を楽しむ一つのメソッドとして提示する)かもしれないですね。ただ、最後にわかりやすいオチが待ってるのって結構文学には少ないんじゃないですか? とも私は思いますが。 わからないまま終わるのも一つのやりかただったりしますからね。


 あらすじです。


 ふたつの対立軸に揺れる現代日本の虚無と諦観、危機意識をスリリングに描く圧巻の大ベストセラー! 突然自分の前から姿を消した女性を探し、楢崎が辿り着いたのは、奇妙な老人を中心とした宗教団体、そして彼らと敵対する、性の解放を謳う謎のカルト教団だった。二人のカリスマの間で蠢く、悦楽と革命への誘惑。四人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、この国の根幹を揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、そして光とは何か。宗教、セックス、テロ、貧困。今の世界を丸ごと詰め込んだ極限の人間ドラマ! この小説には、今の私たちをとりまく全ての“不穏”と“希望”がある。


 読書家なら、少なくとも魅力がわかる小説なんで是非。

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