超訳田村草子・新世紀陸奥話記〜東北防衛ロボットと巫女達の伝説〜

男鹿半島よりメタルクベーラ出撃

異空間から引き戻された5人は羽後総合女子高校生徒会室に居た。

「あえ?おらがだげんで（どうして）生徒会室さ?」

「さっぎまで異空間で三吉さんと…?」

―ドゴォーン

「きゃあああっ」

「あれば…!」

窓の外を見ると湾上には阿計徒丸・阿計留丸・阿計志丸・常龍鬼・加羅王に加え、キンリュウオオツノジカ＝夜叉王が現れ、男鹿市街地を急襲していた。

「まだ増えただ!」

「新手だか?」

「夜叉王殿!」

「長面三兄弟に常龍鬼、加羅王殿、この夜叉鬼も同じく羽後を奪還せんと馳せ参じた!」

「ならば、共に暴れようぞ!」

「頭さ来た…っ!」

「んだども、なんとす（どうやって）?」

「皆さん、お手元の「不空羂索呪経」です!」

「んだど!?」

会計の羽純が不空羂索呪経を開くと、生徒会室の各々の椅子の前がパァッと光りだした。

「そっちゃ置けっちゅうか?」

「せば（それじゃあ）やんべ!」

生徒会長の愛水が声をかけると生徒会の5人はいつもの席に座った。

「唵（オン）阿慕伽（アモキャ）毘闍耶（ビシャヤ）吽（ウン）𠰢吒（ハッタ）!」

「羽後総合女子高校生徒会、出動!」

羽純が不空羂索観音印を結び、不空羂索観音真言を唱え、愛水が不空羂索呪経を机に置くと、生徒会室に光が行き渡り、

―ゴゴゴゴ

―ガコン

―グイーン

愛水・真雫・羽純・秀織の座っていた椅子は地下へと降下し、各自レールにセットされ移動を始める。

降下する過程で羽後総合女子高校の制服である白セーラー服からロボットアームにより、単（ひとえ）・袿（うちき）・懸帯（かけおび）・懸守（かけまもり）・緒太（おぶと）の草履（ぞうり）・ むしのたれ衣と飾紐（かざりひも）が付いた市女笠（いちめがさ）が装着されて「壺装束」姿に変身した。

地下に設けられた格納庫に待機している、

愛水と羽純の椅子はE6系ウイングブースター＝ウゴウイング

真雫の椅子はE751系ミサイルランチャーブースター＝ウゴアーマー

秀織と羽純の椅子はE653系潜水ブースター＝ウゴマリーン

とそれぞれロボットアームによって椅子ごと操縦室に搭乗する。

一方、副会長・栞埜が残された生徒会室は大型スクリーンが壁から展開され、机にはタブレットが現れ、コードが伸びて栞埜のスマートフォンと接続する。

「あばばばは…」

「なんちゅう光景だなや…」

偶然生徒会室に居合わせた文化部部長・小松田美桜と体育部部長・高2八柳（やつなぎ）茜（あかね）(17)がさながら「SFロボットアニメの指令室」に変形した生徒会室の光景に卒倒する。

―ビィービィー

「警報?」

「何したや?」

羽後総合女子高校の校庭に警報が鳴り響き、避難誘導を行っていた生徒が辺りを見回すと、校庭から発射カタパルトがせせりあがり、展開した。

「カタパルトゲート展開完了!各機発進台へ移行!」

「副会長!?」

栞埜は指令室のオペレーターとなっていた。

地下格納庫から発射台へメタルクベーラ三機が移動し、カタパルトゲートへと繋がった。

各機の操縦室でマシンを起動させる4人。

―ピコーン

「発進!」

―ドゴーン

―プァーン

カタパルトゲート横に付けられた信号機が青に点灯し、アクセルを入れ、ウゴウイング、ウゴアーマー、ウゴマリーンは三機同時に発進した。

ウゴウイングは上空へ、ウゴアーマーは国道へ、ウゴマリーンは船川港へ向けて射出された。