仏都会津の安全装置始動
会津誠道高校は下校の時間になった。
うつくしま寮の寮生はうつくしま寮を目指して歩いていた。
「あれ、龍美ちゃん、今日部活は?」
「ああ、今朝方から
「俺もだ…」
「オラも…朝ランの時にあんな目に遭ってから精神的に
「まぁメカの恐竜に襲われて田村麻呂に助けられたのを経験した後じゃ仕方ないよね」
会津誠道高校生徒会の体育部長でもあり、「元女子高のプリンス」のあだ名で女子生徒から王子様キャラと持ち上げられている長刀部部長の柳沼龍美、会津の宮本武蔵こと二刀流剣道の使い手で剣道部部長の宗像剣、向かうところ敵無しのパンチは会津藩什の掟の制裁より強しの見出しでインターハイにまで進んだボクシング部長の八巻勝代。
この3人は高校の女子から圧倒的人気を得ており、故に己に厳しく、朝夕の練習をこれまで決して欠かしてこなかったのだから、学校中が大騒ぎになるほどだった。
そして同じく騒動に巻き込まれた漫画研究部で生徒会文化部長の佐川光美はそんな3人ですら憔悴するほどの出来事だったのだから、早く寮に帰って休ませてあげたい、と3人に同情していた。
うつくしま寮に帰ってきた寮生達が揃うと、広間でお菓子の時間と小温の自己紹介が改めて行われてた。
「改めまして、東京は足立区から来ました、1年2組に転編入しました、鈩迫小温です!よろしくお願いします。」
-パチパチ
「それと私から皆さんによろしくの気持ちを込めて、浅草名物の芋羊羹をお持ちしました!どうぞお召し上がりください!」
「ありがとう、小温ちゃん!」
「それでは、いただきま…」
-チリーン
寮生達のティータイムに失礼するかのように寮に現れたのは、法衣を纏った会津誠道高校理事長にして恵日寺住職の鈩迫磐如大僧都だった。
「り…理事長先生!?」
「
「おばあちゃん?」
「おばあちゃん!!?」
小温の一言に他の寮生と寮母の星美冴が驚く。
「理事長先生兼住職の磐如猊下は私の実の祖母なのです」
「そうだったの!?」
「道理で苗字が同じだと思ったら!」
「あの…理事長先生がどうして
「孫を託す寮を見ておきたいのとそのご挨拶ですよ。でもせっかくできたお友達とのお茶の席に割って入ってきちゃいましたね…」
「とんでもない!私の部屋で良ければ寛いでってくださいな!」
寮母の星美冴は磐如を寮母の個人部屋に半ば強引に案内した。
「呆れた…」
「寮母さん権威と肩書きに弱いからなぁ…」
「それにしても小温ちゃん、なんで理事長先生のお孫さんだなんて黙っていたの!?」
「そうだよ!もし何かあったら私達がキツい処分受けるんだよ!」
「自慢したくないから。おばあちゃんの肩書きと力=私で評価して欲しくないから敢えて自己紹介で言わなかったんだよ」
「でもバレちゃったね」
「この事は寮生だけの秘密にすんべ!」
「そうだね」
「賛成!」
「異議なし」
寮長を務める3年1組の学級委員長、
-ドゴーン
「うわぁああん」
「小学生の泣き声?」
窓の外を見ると、ランドセルを背負った地元の小学生達が泣きながらどこかへ逃げて行く。
その背後には雷獣が小学生を飲み込んでいた。
「あれは巨大なハクビシン!?」
「いや、鬼だなし!田村麻呂が言っていた!」
「
龍美の呼びかけに小温が反応する。
「柳沼先輩!メタルクベーラを起動させましょう!お菓子とお茶は後です!」
「おう!なじょすればいい!?」
「
「オ、オラが発進の合図を!?」
「当たり前だべ?寮長なんだから」
「…ったくなしてこんたな役目…」
「時間がありません!早く!」
不満気な明純も含め、全員が寮の各自の部屋に戻った。
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