右ストレートから始まる異世界転生~俺、ゴブレット~

伊可乃万

第1話 自殺×お仕置き×右ストレート


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 ある日の休日、俺は自殺した。現在生きている世界に希望を見出せなくなったからだ。35歳、サラリーマンの俺はサービス残業と上司からの激しいパワハラを受けていた。会社は典型的なブラック企業で辞めようとしても辞めさせてくれなかった。生きることに疲れに疲れた俺は異世界への転生を願って前述のような行動に出たわけだ。

 念願かなって、俺は特殊な磁場のある空間に召還された。そこには麗しい装束に身をまとった、この世の物とは思えないほどの美女が頬を膨らませて俺の起き上がるのを待っていた。

 「やっと目覚めましたか?」

 「お、おお。なんとか」

 俺が答えるなり、彼女の強烈な右ストレートが俺の左頬を打ち抜いた。俺は数回地面を転がり、その場で果てそうになるほどのダメージを受けた。

 「おお転生者よ、自殺するとは情けない」

 彼女は額に手の甲を当てて、俺の行いを悔やんでいるようだった。

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