第5話
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【ダンジョン図鑑1】
・図鑑入手後、訪れたダンジョンの様々な情報が書き込まれる。
階層情報は足を踏み入れた階層のみ公開される。
モンスター情報は図鑑の持ち主が目視することで得られる。
また、第一階層の情報のみ、初回入場時に自動獲得できます。
・公開ページが20Pごとに、スキルレベルがアップ。
・ダンジョン図鑑ポイントを使って、冒険を有利に進めよう!
ダンジョン図鑑ポイントは、略してDBP。
・DBPが増える条件。
・・初回ダンジョン入場時。(+2500DBP)
・・階層初回入場時。(+1000DBP)
・・最下層初回入場時。(+5000DBP)
・・図鑑のページ更新時。(1P当たり+200DBP)
・・初回ボス討伐時。(+5000DBP)
・・既視ボス討伐時。(+300DBP)
・・モンスター討伐時。*1
・DBP交換で出来ること。
・・ボスモンスターを除く、通常モンスターの取り出し。*2
・・?????
・・?????
・・?????
・・?????
・・?????
*1
モンスター討伐で得られるDBPは、階層×1DBP。
*2
取り出されたモンスターは、テイムされたモンスターではありません。
敵対するモンスターですので、十分にご注意ください。
・図鑑は決して破損しない。またページが破れることも無い。
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……は?
ポイント? 交換? モンスターを取り出せる!?
ページを捲ると目次だ。そこに【福岡02ダンジョン】と書かれている。
ボーカロイドもそんな事言ってたな。
じゃあ01が、福岡に最初に出来たダンジョンか。
「浅蔵さん。これ……行けるんじゃないですか!?」
「え? 行けるって?」
「ダンジョンの情報が自動で書き込まれるんですよね? だったら、ダンジョンの地図とかも書かれてて、出口が分かるんじゃ!」
確かに!
直ぐにページを捲って確認すると、まず最初に福岡02ダンジョンの基本情報が書かれていた。
出来たばかりの、赤子のようなダンジョン?
ふざけるな!
えぇっと……地下25階層からなる、中規模ダンジョンだと書かれている。
つまりここは地下24階か。
くっ。思ったより深いな。
基本情報はここまでしか書かれていない。
次のページが地下1階の情報だ。地下1階は広い草原のような構図になっているようだ。
左のページには文章が、右のページにはイラストが書かれている。
絵、地味に上手いな。
次のページに1階に生息するモンスターが、イラスト付きで紹介されていた。
生息するのは、みんな大好きスライム。青と緑の二種類が居るようだ。
浅い階層のモンスターなので体内が酸性ということもなく、説明文にも『最弱の名に相応しい』と。
スライムの他には、体長2メートルにもなるミミズと、体長1メートル程のバッタ。
計4種類のモンスターが出るようだ。
そしてモンスター情報の次は……。
「地図……あった」
どうも地下一階の全体図みたいだな。
これを見るとだだっ広い、ダンジョンっぽさがまったくない構図だ。
「浅蔵さん。ここに地図が載ってるんです?」
「うん、そうだけど」
俺が開いたページをじっと見つめていたセリスさんは、首を傾げて考え込んでしまった。
それから――。
「私には見えません。見えているのは【図鑑の所有者のみ観覧可能】という文字です」
そう答えた。
図鑑の所有者のみ観覧可能。
つまり俺だけが地図を見ることが出来るってことか。
その他の基本情報だのモンスター情報だのは二人にもちゃんと見えているのに、何故わざわざ地図だけ……。
他のページも確認してみるが、白紙の見開きの後には24階の基本情報。
2階から23階まで全スルーされている。
どうも図鑑スキルを獲得してから侵入できた階層しか、情報が載らないようだな。
地下1階はダンジョンに入ったという、ご褒美みたいなものか?
あと地図に関しては、24階と25階は極一部しか表示されていない。
一部というより、俺が今いるホームセンターの周りだけだ。
もしかすると、俺が歩いた場所だけが書き込まれていくのか?
1階はやっぱりご褒美的な……。
それともう一つ……。
「これがボス……だったのか」
「え? 見たんですか?」
「乗っていた車はこいつに飲み込まれていたんだ。いや、こいつの真上に落下したというのが正解か」
「え……」
「こいつがクッションになってある程度衝撃を和らげてくれたみたいだからね。おかげで生きているんだ。感謝しなきゃな」
図鑑に描かれていたのは、緑色のゼリー。
ボスの名前は【ビッググリーンスライム】と、そのまんまのネーミングだった。
「地図はあったけど、俺が歩かなければマッピングされない仕様ってのはなぁ」
「階層全部が出ている訳ではないと?」
「そうなんだ」
最初は期待したけど、やっぱり簡単には脱出できそうにないな。
大戸島さんが起きるまで鞭の作成に励んだ。
くっふっふ。
このワイヤー入り鞭なら、モンスターに対する殺傷力だって期待できるはずだ。
カッターの刃でも仕込んでみようか?
まぁそれは追々、今回のを使ってみてから考えよう。
完成したのは黒い革で編み込んだ鞭。見え隠れする白銀色のワイヤーが美しい。
うぅん。いいねぇ、このしなやかなライン。堪りません。
あ、セリスさんが蔑んだ目で俺を見ている……。何故だ。
「うぅん……ほわぁ~。おはようセリスちゃぁん」
「あ、瑠璃。おはよう……ていうか、良く眠れたわね」
「えぇ~、だって眠かったしぃ」
「夜更かしでもしていたとか?」
「してませんよ~。うぅん、でも変だねぇ。なんで眠かったんだろう?」
そんなの聞かれても分からないよ。
ダンジョンには眠気を誘う効果があるなんて聞いたことないし、そもそも俺とセリスさんは特に眠くも無い。
大戸島さんも鑑定スキルを与えられていなかった――という検証を終えたのち、彼女にもダンジョン図鑑の事を話した。
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