アリスおばあちゃんの新たな夢(2)

 この桜の木の下で、さっきからなれない格好でブルーシートの上に座っているアリスおばあちゃんは、いつもは椅子に座るか、ソファーに座るか、このどちらか。こうやって地べたに座るのはほとんどない。友人たちは慣れている様子。


 そんな中、アリスおばあちゃんは困惑から抜け出せない。なぜ、友人たちはあんなに若々しいのか、それが気になってしょうがない。科学者として、研究、研究の日々。お肌のお手入れなんかほとんどしていない。しかし、それにしてもなんであんな風になるのか。


 この10人の友人たちの中で、アリスおばあちゃんの1番の親友で幼馴染のスザンヌ。 スザンヌは、町1番の美人。気立て良く、優しい、料理も得意。

 この3段重重箱全てスザンヌの手料理。ランチタイムには時間が早いが桜の木の下でランチを食べることに。


 その時、突然アリスおばあちゃんは立ち上がり、疑問になっていたことを聞いた。なぜ、みんな若々しいのか。それについては、スザンヌから直接聞いた方がいいと、友人たちは口をそろえて言う。

 そのスザンヌはというと。その答えは、ランチのあとでと言うことになり。アリスおばあちゃんはその場に座り、目の前には見たこともない箱。しかし、綺麗な絵が描かれている。

 スザンヌは、その箱の蓋を開けると。アリスおばあちゃんは、箱の中身に驚いた。見た目も美しく、見たこともない料理が並んでいる。それに、この美味しそうな匂い。こんな料理は見たこともない、アメリカにはない料理。仕事柄、世界情勢には詳しいアリスおばあちゃんは、家事もちゃんとできるし、料理もする。しかし、これはいったいどこの料理なのか、気になりスザンヌに聞いてみた。

 すると、これは日本料理だと言う。日本では桜を見ながら食事をする風習があり。これはお花見と言い。私なりのお花見のお弁当を作ってみたの、そう言いながら。慣れた箸使いで紙皿に料理を取りわけて行き。11人全員に料理が行き渡ると。スザンヌはアリスおばあちゃんに、箸の使い方を教え。手先の器用アリスおばあちゃんは、箸の使い方を1分でマスターした。

 友人たちはこの光景に驚きはしない、アリスなら当然だと思っている。なんでも器用にこなすアリスおばあちゃん。


 スザンヌは、食事の前の日本の作法、「いただきます」をアリスおばあちゃんに伝え。

みんなで、「いただきます」を言い、食べ始めた。

 初めて食べる日本食にアリスおばあちゃんは感激し、この世界にこんな美味しい物があったとは、なんと世間知らずな私なのか。肉中心の食事からくる偏った食事。日本食なら野菜もお肉もお魚もバランスよく食べられる。なるほどみんなのスタイルがいいのは、日本食のせいなのか。そう思いながら食べていた。


 重箱の中身は空っぽになり。みんなで、「ごちそうさまでした」、このあと、食後の日本茶をみんなでいただき。スザンヌはアリスおばあちゃんの質問に答えた。どうしてみんな、若々しいか。


 若返っているのには、3つ要素がある。1つ目は、エステに通い、特別な化粧水を使っている。2つ目は、毎日の食事は日本食。健康に良いとされる和食に変えた。3つ目は、特別なマッサージ。若返りのツボがあり、気功法を使いマッサージをする。外見もさることながら中身も若返っている。


 それを裏付けるかのように、アリスおばあちゃんに健康診断書を渡す友人たち。

 腰痛に悩まされて友人は、1週間で治り。内臓が悪かった友人もすっかりよくなり。最近、健康診断受けた友人たちの診断結果は、全員40歳くらいの年齢だと言われ。病院の先生方も驚いていた、たった1年でこの成果を上げた。


 アリスおばあちゃんは、友人たちの健康診断書を見ながら思った。今の私の健康状態ってどうなんだろう。肩こりや、食欲がない、体調も崩しがち。しかし、ここ30年病気はしていない、健康診断は1回も受けたことがない。もし私もみんなのように若返るとしたら、タイムマシンの研究を続けられる、引退はしなくてすむ、120歳も夢ではない。

 この時、アリスおばあちゃんは、あることに気づいた。1年前に、なぜ私に教えてくれなかったのか。そこには、スザンヌなりの考えがあってのことだった。

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