5-136 ハルナとフウカ7







「はい、お終い!!」




「「「「やったー、終わったー!!」」」」





『お見事です、ハルナさん……いえ、ハルナ様』




「え?……様って……な……どうしたんですか、ラファエル様!?」



大竜神たちはハルナに対し長い首を下げ、下顎を地面につけてひれ伏す。

ラファエルを初め、他の大精霊たちもハルナに対して両膝と両手を地面につけハルナに頭を下げていた。



『ハルナ様の能力は、私たちを超えております。そのようなお方に仕えるのは当然でございます』





「で、でも……すごいのは私じゃなくて……その……フーちゃんだと思うんです……けど?」



その言葉を聞き、フウカは少し照れながらハルナの首に顔をうずめてしがみついた。




『そもそも精霊とは、人と元素を媒介する存在として生まれました。稀に自我を持つ者もおりますが、その殆どが契約者の力量にかかっております。ですから、ここまで精霊を進化させることができたのは、ハルナ様の実力があってのこと……』



下にうつむいたまま話すラファエルの言葉に、ガブリエルが続きを補足して説明する。



元々、元素を扱う者が今のハルナのようにその個体単独で行えるのが通常だった。

しかし、元素を扱えるものを探す中で、その存在は数十年に一体出てくるかどうかの確立だった。

これではこの世界を救う可能性のあるものが、そんなに多く存在しないことが判った。

そのような状況は、将来的に不利になると考えラファエルたち大精霊は、生き物と空気中に存在する元素を仲介する存在を生み出した……それが、のちに精霊といわれる存在となる。


だが、その存在を創っただけでは、元素の力を扱う者の数は極端に増えることはなかった。


ラファエルたちは次に、その精霊の存在をどのように拡散させるべきかを考えた。

精霊たちを空気中に散布して、相性の良い生物を探す考えだったが、ここでも誤算が生じた。

精霊はずっと空気中に漂うことは出来ず、ある程度の元素が拡散されてしまうとその存在は失われていった。


反対に、空気中に散布させた成果もみられた。

亜人や人間……特に人間と相性がよく、元素を扱えるものたちが誕生していった。

そこに人間の独特の文化が加わり、精霊は変化を見せていく。

ラファエルたちからしてみれば、ただの元素の塊であり生き物との元素ととしての仲介的な存在である精霊が、意識を持ち始める者が出始めたのだった。


当時、人間たちは精霊の存在を神の使いとして崇めていた。

人間たちは、精霊使いの存在が出現したことにより、この世界の中での生態系の順位に変化が見られた。

魔物や亜人、ギガスベアなどの凶暴な生物にも対応できる力を得た……その力を与えてくれる精霊を崇めるようになったのは自然の流れだった。



そうしてその祈りが変化をもたらしたのか、精霊の中で人間と意思の疎通ができる者が生まれた。

すると、精霊は既に意識があり、契約する生き物たちを選んでいることが判った。



大精霊たちはそこから人間と接触を行い、多くの人間が精霊使いとなれるように協力を進めていった。








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る