5-134 ハルナとフウカ5







「あ!いいこと思いついた!!」



「――え!?な、なに!?」




ハルナは律義にも、フウカの言葉に応えてあげた。

ハルナにも余裕はなかったが、それに対して邪魔をされたとか怒りと同様な感情は持っていない。


だが、数は多いがまだ一属性だけで攻撃されている間に次の手を打たなければ、ハルナたちは……命を落とすことはないが、ひどいダメージを負ってしまうだろう。

ここにはガブリエルがいて傷を癒すことはできるだろうが、そんな甘えがあっては本来の目的のハルナたちの能力の開花には繋がらない。

ハルナも薄々感じていたことだが、ハルナとフウカ一人一属性ずつしか扱えなければ、この先3つ以上の属性を混ぜてこられた時には対応できないことが判っていた。


そのため、これからのことを対応していくにはハルナかフウカ、もしくは二人が更なる進化を遂げなければならないということになる。



まずは、出し惜しみすることなくできることから手を打っていくべきだとハルナは判断した。




「で?どうするの!?私は、なにをすればいい!?」



「ハル姉ちゃん!……少しの間、一人で頑張ってて!すぐ戻るから!!」



「え?……う、うん!わかった!……な、なるべく早くね!?」



フウカがこれから何をしようとしていたのか、判ったようなわからなかったようなハルナだった。

しかし今は、フウカのことを信頼してハルナはひたすら迫ってくる元素の攻撃を順序良く効率的にこなしていった。



ほんの一分しか経っていなかったが、ハルナにはとても長く感じていた。

一人で四つの攻撃を見極めなければならず、それに応じて属性も選択する作業を一人で行うには一分間でも神経を相当すり減らしてしまう。



(ま……まだかな?……フーちゃん?)



ハルナの問いに、フウカからの返答はない。

ハルナ自身もそのことに意識はそんなに避けられない、次から次へと襲い掛かる攻撃に意識を途切れさせることはできなかった。




『よそ見をしているなんて……余裕があるのね』



ウリエルが、ハルナの様子を見てそうつぶやく。

慌てない態度と、今まで一度しかハルナにダメージを与えていないのが気に入らなかった。



『何やってんのウリエル……それはもうすこし……!?』



ウリエルはこれまで単体の属性でしか攻撃してこなかった元素に初めてもう一つを混ぜた。

被せられたガブリエルが、そのことに気付きそれを止めようとした……だが、その行動をラファエルが止めた。



『どうして!?……だってハルナたちはまだ!?』



『落ち着いてガブリエル……ハルナたちの力……信じてみない?』



そう言いつつも、ラファエルの手は腹部の前で重ねれ荒れて強く握られていた。

ウリエルは、準備ができた二属性を含んだ元素をハルナに向けて飛ばした。




「……あれ?あの元素……」



ハルナは、自分に向かってくる攻撃の一つの異変に気付いた。


その元素は今までよりも不明瞭な感覚でハルナに伝わってくる。

ハルナはイチかバチかで、風の元素で撃ち落とそうとした……が、その元素はそのまま何も変わずハルナに向かってくる。






「ちょっと……あれって……まさか!?」




その正体に気付いたハルナだが、それに対する手立ては何もなかった。







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