46話:復縁? それとも……? PART3
授業を終え、放課後。
本来ならば、夏彦と未仔は一緒に帰りつつ、仲良く放課後デートを満喫する日だった。
しかし、当然ながら自分たちだけ幸せ気分に浸るような行為ができるわけもなく。
それは琥珀も同じようで、
「はてさて。ウチがランクマ回しとる間に、そんな事件があったとはなぁ」
いつものコンビニ前。ベンチに深々と腰掛ける琥珀は、買ったばかりのアイスキャンディーを
休み時間、草次がふて寝している間に、夏彦から先日の一件は説明され済み。
事の発端である草次は、今現在、何をしているのだろうか。
「はぁ!? いやいいって! 俺がミキとサキ迎えに行くから!」
3人から少し離れた位置にて、電話主と大揉め中。
勿論、電話の相手は奏。
口論の内容は、どちらが双子を保育園にまで迎えに行くか。
水掛け論なのは言うまでもない。
「だから! 奏は家に真っ直ぐ帰っ――、…………。勝手に切りやがった……!」
結末は奏が無理矢理に迎えに行くで強制フィニッシュ。
「ひゃ~。まるで離婚後、親権を取り合う夫婦みたいやねー」
「バ、バカッ!」「琥珀さん!?」
琥珀のデリカシーゼロ発言を、ナツミコは口を塞いで全力で隠蔽工作を図る。
時すでに遅し。
「「「ひっ……」」」
言わんこっちゃない。地獄耳のイケメン、3人の座るベンチへとズン、ズン、ズン、と大股早足で急接近。
まるで獲物を見つけた
鬼滅の草次に、さすがの琥珀もバイブレーション。
「な、なんやコラァ! ウチに八つ当たりする気か!? 近付くなぁ! ここここれ以上近づくなら、夏彦の命はあらへんぞぉ!」
「何で俺人質なの!?」
「じゃかましい! 大人しくせんかい!」と、自身の腕と豊満なバストで夏彦の首を固定。そのまま、こめかみへと齧りかけのアイスを突き立てれば、立てこもり犯と人質の関係が完成である。
とはいえ、
ついに草次が、震える琥珀featナツミコの目前へとやって来る。
「付き合え」
「はへ?」
予想だにしない発言に琥珀の目が点に。
「えっと……、悪いけどウチ、そんな尻軽女じゃ――、」
「琥珀ん家でゲームやらせてくれ」
「??? ゲーム?」
「おう。今日はとことんストレスを発散したい」
「……あ。ソーイウコトデスカ」
事情を察した琥珀は思う。
(夫婦喧嘩して家飛び出した旦那ですやん……)
さすがのお気楽女子も、これ以上余計な発言はせず。
「菓子と飲み物買ってくる」と、不機嫌オーラを纏った草次がコンビニへと入って行く。
嵐が過ぎ去り、琥珀と夏彦は大きく嘆息。小動物な未仔に至っては、こてん、と事切れるかのように夏彦へと寄りかかっている。
「ふぅ……。てっきり、二度とコントローラー握れない身体にされる思たわ……」
「確かに怖かった……。というか! お前の行動が一番怖かったよ!」
「そんなことよりもやで」
「俺の命って一体……」と呟く夏彦をスルーしつつ、琥珀は続ける。
「ナツと未仔ちゃん的にはどうなん?」
「何がどうなんだよ」「? 何がですか?」
「あの2人は放っておいても仲直りできそうなん?」
内容を理解すれば、夏彦や未仔もすぐに表情を曇らせてしまう。
「うーん……。ぶっちゃけると、これ以上溝が深まるなら危ないかも……」
「私もそう思います……。ちょっとというか、かなり心配です……」
「まじかー」
琥珀は背もたれへと大きく
打開策が浮かばない夏彦としては、琥珀にも
「琥珀的には、どうすれば良い思う?」
「んー、ウチ?」
真っ青な空を仰ぎつつ、琥珀は即答する。
「知らん」
「「…………」」
少しは期待していただけに、こうもハッキリ言われてしまえば、むしろ清々しい。
さすがは悪友。夏彦の言いたいことがジト目だけで察してしまう。
「いやいやいや。前々から言うてるけど、恋愛だの色恋沙汰に全く興味ないから。そんなウチが草次と奏さんの復縁方法なんて思いつくわけないやん」
「納得のいく答えすぎる……」
「やろ?」と琥珀は肩をすくめる。
「てなわけで、バカップルのアンタらが分からんのなら、ウチにはもっと分からんわ」
「バカップル言うんじゃねー」
「ほうほう? どこもかしこでイチャイチャしてるくせして、自分たちはバカップルではないと?」
「し、失礼な! 俺たちだってTPOくらい弁えてるから!」
夏彦の力強い発言に、少々恥ずかしがっている未仔も「ですっ」と頷く。
さらに夏彦が声高々に宣言する。
「未仔ちゃんがどうしようもなく可愛いときは、衝動が抑えられないけども!」
「100バカップルやないかい」
「~~~っ! ナ、ナツ君っ……!」
琥珀がツッコめば、未仔も顔を押さえて赤面。バカップルは死んでも治らない。
野次った自分に非があったと己に言い聞かせつつ、琥珀は残りのアイスを平らげる。そして、腕組しつつ「う~ん……」と唸る。
「でもまぁ、あの草次があそこまで余裕ないんやから、タイムリミットは近いんやろな」
「そう、かも……」「ですね……」
「よっしゃ」
どうしたことか。何かを決意したかのように、琥珀は自分の両モモをペチンッと叩く。
そのまま、胸に拳を押し当てて宣言する。
「ココはウチに任せて、アンタらは奏さんとこ行きや」
「奏さんのとこ?」「奏先輩のところ、ですか?」
「いや~♪ 人生で一度は使ってみたいセリフが言えるとはなぁ」と呑気にケラケラ笑う琥珀だが、決して冗談で言ったわけではない。
「ゲームも人生も情報収集が大事やん? せやから、一番不足してる奏さんの情報を収集してきいや」
「相変わらずのゲーム脳だな……。でも、案としては的を射てる気がする……!」
「私もそう思います! 私だけじゃ気付けなかったことも、ナツ君と一緒なら分かることがあるかも!」
夏彦と未仔は顔を見合わせると、意見は同じだと力強く頷く。
「さてと。『そうと決まれば、さっさと行き』って言いたいとこやけど、どうやって違和感なくこの場から抜け出すかやねー」
「あっ。……確かに」
このまま抜け出してしまえば、奏のもとへ向かうのは丸分かり。余計、草次と奏の関係にヒビを入れてしまう可能性にも成り得てしまう。
光明を見出すのは未仔。
「わ、私に任せてください」
「「?」」
夏彦と琥珀が首を傾げるのと同時、コンビニの自動扉が開く。
ついには、買い物を終えた草次が戻って来てしまう。
「よし、じゃあ琥珀ん家に行――、」
草次がそのまま歩き出そうとしたときだった。
「!? みみみみみみ未仔ちゃん!?」
夏彦がパニックになるのも無理はない。
未仔がいきなり、むぎゅうううううう~~~! と横から抱き着いてきたから。
未仔の豊満かつ柔らかパイパイが、夏彦の腕をずっぽし包み込む。シートベルトやカバンの紐ではなく、己の腕がパイスラの紐代わりになる。唐突な男の浪漫。
「伊豆見先輩ごめんなさい! 今日は私だけにナツ君を独り占めさせてください」
「独り占め?」
「は、はいっ。先日のお詫びも兼ねて、ナツ君にたっぷりご奉仕してあげたいんです!」
この場をフェードアウトするための口実なのは分かっている。
けれど、
(み、未仔ちゃんのご奉仕……!?)
夏彦の脳内では、未仔が至れり尽くせりのご奉仕三昧。
メイド姿の未仔が、膝枕しつつ耳かきしてくれたり、手作りスイーツを食べさせてくれたり、子守唄付きで添い寝してくれたり。
挙句の果てには、メイド姿の未仔が、えっちらほっちらと衣類を脱ぎ始める。
何ということでしょう。未仔が身に纏っているのはブラやショーツではない。
そう、プールのときにお披露目されたタンキニ水着姿。
フィニッシュブロー。モジモジと内股をこすりつつ、最愛の彼女は言うのだ。
「ナツ君。ぱふぱふしても良いですか……?」
夏彦大悶絶。
「~~~~っ!!! そ、そういうわけだから! 俺と未仔ちゃんは、これにて失礼させていただきま―――――す!」
燃え盛る顔面、表情筋死滅の夏彦が、未仔を小脇に抱えつつ全力疾走で消えていく。
唖然とする草次の隣で琥珀は呟く。
「やっぱりバカップルなんやなぁ」
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【挨拶】
あけあめ!
本年もよろしく、おっぱいフレンズ!!!
2021年の目標は、『しっかりした長編を1本書くこと』
おぱもみは良くも悪くも、プロットもへったくれもない状態でスタートした作品なので(笑)
1つ1つしっかりと計画していき、より良い作品を皆さまにお届けできるよう精進していきまっす( ̄^ ̄)ゞ
【宣伝】
ついに今日がおぱもみの発売日!
除夜の鐘で煩悩を取り除き、新年早々煩悩を取り込むニュースタイル。
本屋さんへGO!!!
( ゚∀゚)・∵.オッパイ!!
【暇つぶしにどうぞ】
『構って新卒ちゃん』の連載版も不定期投稿をスタートしたので、暇が有り余ッティな方は是非是非。
日本酒好きの先輩LOVEな後輩ヒロインです。
-作品はコチラから-
https://kakuyomu.jp/works/1177354055408420052
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